23。《滑車と物体の運動)
天井
滑車Q
糸3
次の設問に答えよ。
(A] 図1のように,質量 mの物体Aと質量5m の物体Bを糸
1で結び,滑車Pにつるす。さらにこの滑車Pと物体Cを糸2
で結び,天井から糸3でつるされた滑車Qにつるす。
(1) 物体 A, 物体Bおよび物体Cを同時に静かにはなしたとき,
物体Aと物体Bは動きだしたが,物体Cは静止したままであ
った。物体Cの質量はいくらであったか。数字ならびに m,
gの中から必要なものを用いて答えよ。
(B] 次に,図2のように, 物体Aと物体Bを同じ高さに固定し、
図1の物体Cを糸2から取り外す。 その後,糸2の右端を一定
の大きさFの力で鉛直下方に引くと同時に, 物体Aと物体Bを
静かにはなすと,滑車Pは上昇した。物体の運動中に, 滑車ど 滑車P、
うしの接触や物体と滑車の接触は起こらないものとする。 数字 計
ならびに m, g, F, dの中から必要なものを用いて次の設問に
答えよ。
滑車P
糸2
糸1
物体B
物体A一
物体
m
5m
図1
天井
糸3
滑車Q、
0
糸1
物体B-
物体A m
5m
(2) 物体Aと物体Bを静かにはなした後の,糸1の張力の大き
さはいくらか。
図2
参張フ
3)物体Aと物体Bの高さの差がdになった瞬間の物体Aの速さはいくらか。
[19 九
-O
(3) 静止した観測者から見ると, 物体Aと物体Bの加速度の大きさは異なるが, 滑車Pから見ると, 同じ加速度の大きさ
23
ヒント
動〉
になる。
rA](1) 物体Aと物体Bの加速度の大きさをa, 糸1の張力の
大きさをT, 糸2の張力の大きさを T'とおく。図aのよ
うに、物体Aは鉛直上向きを,物体Bは鉛直下向きを正に
とって運動方程式を立てると
T
T
T
alA
B
P
Va
mg
Aについて
ma=T-mg
T
T
Bについて 5ma=5mg-T
また,物体Cの質量を Mとおくと, 物体Cおよび滑車Pに
はたらく力のつりあいの式はそれぞれ,図bより
Cについて T'=Mg
PについてT'=2T
Mg
2
5mg
図a
図b
0, ②式より aを消去してTを求めると
T=
mg
Je
この結果と3,④式より
2T
10
m
3
M=-
g
(B](2) 糸1の張力の大きさをfとおき, 滑車Pの加速度の大き
さを ap とおく。滑車Pにはたらく力は図Cのようになり,
滑車Pの質量はないものとするので, 運動方程式は
4 。
合※A F=2f となるが,
滑車Pは加速度0ではないこ
とに注意する。
F※A←
よって f=ラ
0×ap=F-2f
図c
(3)滑車Pから見ると, 物体Aと物体Bは, 加速
度の大きさは等しく, 物体Aは鉛直上方に,
物体Bは鉛直下方に運動する。滑車Pは鉛直
上方に加速度運動するので, 図dのように物
体Aと物体Bには鉛直下向きに慣性力がはた
らいてみえる。(1)と同様に正の向きをとり,
(物体Aと物体Bの加速度の大きさをα'とお
いて運動方程式を立てると
Aについて ma'=f-mgーmap
Bについて 5ma'=5mg+5map-f
これら2式からapを消去し, (2)の結果を用いて α'を求めると
全※B 求めるのは滑車Pか
ら見た速さではなく,静止し
た観測者から見た速さである
ことに注意する。
f
B
A
map
mg
5map
合※C 別解 慣性力を用いず,
静止系の運動方程式から解く
こともできる。
物体Aの加速度を鉛直上向き
にaA, 物体Bの加速度を鉛
直下向きに asとおく。運動
方程式は
A:maa=f-mg
5mg
図d
2f __F
B:5maB=5mg-f
これに加え,鉛直上向きに
速度 ap で運動する滑車P
ら見たAとBの相対加速度
大きさが等しく向きが逆向
となることから
aA-ap=as-(一ap)
が成りたつ。この3式より
10ma'=4f
よって a'=-
5m
5m
この加速度の大きさで物体Aと物体Bはそれぞれずつ動けばよいので
動き始めてからかかる時間をtとおくと
5md
よって, ⑥式より t=,
一方,静止した観測者から見た物体Aの加速度を anとおくと※B←
F
QAミ
g,
2m
a'=aa-ap
よって, 物体Aの加速度は⑤式と(2)の結果を用いて
F
3F
g
10m
ap=
であり,6式の a'も
aA=a'+ap=.
-g=
2m
m
5md ※C←
F
F
a'=an-ap=
5m
F
ゆえに,求める速さは aat=
2m
と求められる。
ト