対話 基本例題 21 糸でつながれた2物体の運動
質量Mの物体Pを滑らかで水平な机の上に置き,
物体に軽い糸を付けた。 そして, 机の端に固定した軽
い滑車を通して他端に質量mのおもりQをつるして
手ばなした (図1)。 以下, AさんとBさんの会話の
空欄①~④には語群から適語を選び, (ア) (オ)に
は適当な式を入れよ。 重力加速度の大きさをg とする。 図1
A:物体の運動は,まず物体にはたらく力の図示からp
だね。軽い糸は滑車にかかっていない部分と滑車
にかかっている部分で3分割してあるよ (糸 I,
糸ⅡI. 糸ⅢI)。
B : 物体Pとおもり Q に重力以外の力がはたらくのは,
2物体が接触しているところだから, 図2の○を作
用点として力がはたらくことになるね。 糸ⅡIの両
端はそれぞれ糸 I, 糸ⅢIIと接触し,糸ⅡI の真ん中
にある○は, 滑車と接触している代表点を示しているよ。
A:Pにはたらく ( ① ) と ( ② ) はつり合っているから,Pにはたらく
(③)でPは水平方向に加速度運動することになるね。 (③)の大きさ
を T, 加速度の大きさをaとして,Pの運動方程式を書くと (ア)…(i)
となるよ。 糸Iの運動方程式はどうなるんだろう。
B:糸Iの左側にはたらく力は(③)と(④) の関係にあるから,その大
きさはTで,糸I の右側にはたらく力の大きさをTとして糸Iの運動方程式
を考えると・・・ああ、そうか!糸Iは軽い糸だから質量0と考えると運動方
程式は、0×α=(イ)となって, T'′ = Tになるんだね。
M 物体P
図 2
糸 I
滑車
滑車
おもり Q
m
糸 Ⅱ
Go
糸Ⅲ
A:定滑車は糸に沿った方向にはたらく力について,その大きさは変えずに,向き
だけを変えるはたらきをもつから、糸IIの両端にはたらく力は糸Iでの考察と
同じで等しくなるね。でも,糸II の両端にはたらく2力だけでは力はつり合わ
ないよ。
B:ほら,滑車から受ける力があるじゃない。滑車から受ける力の大きさをTで表
すと,( ) となって, 糸ⅡIの両端にはたらく2力とつり合うよ。
A:本当だ!おもりQの運動方程式は,(エ)….. (ii) になるから, (i),(i)
式から加速度の大きさを求めると, (オ)になるんだね。
【語群】
重力,垂直抗力,張力, つり合いの2力, 作用・反作用の2力
考え方
[解説]
物体,おもりについてそれぞれ運動方程式を立てる。 2物体の加速度の向きは異な
るが,大きさは同じである。
垂直抗力 張力 T
力を図示すると,右図のようになる。
Pにはたらく重力 ① と垂直抗力 ② はつり合って
おり、糸の張力 ③ で物体Pは加速度運動する。
よって, Pの運動方程式は, Ma=T (ア)….. (i)
となる。 糸 I が物体Pを引く力と, 物体Pは同
じ大きさで逆向きの力で糸 I を引くので, 糸 I
の左側にはたらく力は, 張力と作用・反作用の
2力の関係にある。
糸Iの運動方程式は, 0xα = T-T(イ)と
なるから, T'=Tである。
糸ⅡIの両端にはたらく力は水平左向きに T,
鉛直下向きにである。 糸ⅡIも質量は0であるから, 力はつり合って
いる必要がある。 糸ⅡI の両端にはたらく2力の合力の大きさは√2Tで
あるから, 滑車から受ける力の大きさも√2T(ウ)になる。
Qの運動方程式は,ma=mg-T(エ) (ii) となるので, (i), (ii) 式
から加速度の大きさを求めると, α =
となる。
mg
M+m (オ)
P
重力
T
糸 I
T T√2T
滑車
√√2 T
糸Ⅲ
糸 ⅡI
*17
T
T
T
mg a
T
√2 T