問題38 Bは、Aから, Aの所有する甲土地を譲り受けて, Cに売り渡
いた。以下のうち,Cが,所有権移転登記を備えなければ甲土地の所有
| 権取得を対抗することができない者を, 判例がある場合には判例に照ら
して、1つ選びなさい。
1. A
2.Bから甲土地を贈与されたD
3. Bの相続人E
4. 正当な権原なしに甲土地を占有するF
解説 不動産の物権の取得,喪失,変更は不動産登記法その他の法律の定め
るところに従って登記をしなければ,第三者に対抗することができない(民
7条)。ここにいう「第三者」とは,物権変動の当事者(本問ではBおよびC)
以外の者を広く包含しうる概念であり、同条の趣旨に照らしてその意義を考
える必要がある。判例においては,「第三者」は,当事者およびその包括承
人以外の者であって,登記欠缺を主張する正当な利益を有する者に限定し
て理解されている(第三者制限説:大連判明41・12・15民録14・1276)。
1. 対抗することができる。 不動産がA→B→Cと順に譲渡されたとき, B
の前主であるAは,Cからみて民法177条の第三者にあたらない (最判昭
39・2・13判夕160・71)。 Aは,Bへの所有権移転により無権利になって
おり、BC間の権利移転を否定しても自ら権利者となるわけではなく,「登
記欠缺を主張する正当な利益を有する」 とはいえないからである。
2. 対抗することができない。 同一不動産の譲受人Dは,譲渡人Bとの間の
有効な契約に基づいて目的物に対して権利を取得している。 譲渡契約の有
償無償は,DがCの登記欠缺を主張する資格を有するか否かという問題と
の関係では意味をもたない。
3.対抗することができる。 物権変動の当事者およびその包括承継人は,民
法177条の第三者ではない。 Bの相続人Eは,包括承継人であって,被相
続人Bの当事者としての地位を承継する。
4. 対抗することができる。 不動産について何の権利も有しない無権利者は,
民法177条の第三者にあたらない (前掲 大連判明41・12・15)。 したがって,
正当な権原なしに甲土地を不法占拠するFは第三者に含まれない (最判昭
25・12・19民集4・12・660)。
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正解 2
民
法