国権の意味には2つの説があります。1つ目は三権の総称であるという説です。2つ目は国家法人説における権利の主体である国家の意志力です。現代の学説において国家法人説は支持されませんから、1つ目の説を取ります。
ここからが本題です。もし、憲法41条が「国権の最高機関」でなく、「国の最高機関」と定めていたとすると、国民主権原理上の不都合が生じます。その不都合について説明します。日本国の統治機構には、国会、内閣、裁判所が存在し、それぞれが権限分担を行っています。しかし、憲法上どこの機関が担当する権限なのかの不明な権限も存在します。国民主権原理においては、そのような権限は国民に帰属しなければなりません。国会を国の最高機関としたのでは、そのような権限は国民ではなく、国会に帰属することになり、国民主権原理に反します。
国の最高意思決定権は国民にあるのです。国会はあくまでも、主権をもつ国民に最も近い点で、権力機関の中での最高機関にすぎないのです。日本国憲法41条は、そのことに配慮し、あえて「国権の最高機関」としたと解するのが妥当でしょう。
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