化学
高校生

分子内の水素結合より分子間の水素結合が強いのはなぜですか?

有機化学

回答

水素結合の定義を履き違えています。
水素結合とは
「電気陰性度の高い物質と"共有結合した水素"が若干の正の電荷を持ち、近くの窒素、酸素、フッ素の非共有電子対と引き合う力によって生じる結合」 のことです。

水素結合は分子間のみに発生する結合です。分子内では水素と他の物質では共有結合をしています!

mid

マレイン酸は分子内で水素結合するんじゃないんですか?

じゅん

有機化学の話でしたか!失礼しました。

有機化学で扱う物質は立体構造の関係上、分子内で水素結合を持つものも存在します。

ちなみに、分子内の水素結合より分子間の水素結合が強い との質問でしたが、

この質問は元々、マレイン酸とフマル酸の沸点の差から生じた疑問ですか?

hizumi

水素結合の定義がおかしいです…。
水素原子を含む極性の結合が酸素、窒素、フッ素などの電気陰性度の高い原子と相互作用をしてできる結合です…。

hizumi

水素原子は1つの電子のみを有するので、電気陰性度の高い原子と共有結合につくることに使われると、水素の原子核は部分的に遮蔽が無くなり、結果、プロトンは別の分子の電気陰性度の高い原子と直接相互作用するくらいの説明なら、語弊はありませんが…。

マレイン酸とフマル酸は互いに異性体の関係であり、その第一解離定数は、マレイン酸の場合、シス体での立体的な相互作用のためにプロトンの脱離が促進され、フマル酸よりも高い値を示します。
フマル酸の第ニ解離定数は、第一解離定数の1/20に対してマレイン酸では第二解離定数は、第一解離定数の1/20000も小さい。
まとめると、
マレイン酸 フマル酸
K1 >
K2 K1/20000<<<<<K1/20

ここで、マレイン酸の-COOH基と-COO(-)基との間に安定した分子内水素結合を考えれば、説明はつきます。この分子内水素結合がなぜできるのかは重要ではなく、歴史的には、解離定数に差がある→分子内水素結合が影響しているのではないか?→X線解析やNMR,IRによって水素結合を容易に調べることが可能。
→マレイン酸の第一解離定数は、立体的な相互作用によって促進されていたが、第二解離定数は、分子内水素結合によって制御されていた。
ということがわかりますね。

基本的には、分子間水素結合は特別なタイプの分子間相互作用であると考えて、その中に一つの分子でも分子内水素結合をつくることができる、フマル酸とマレイン酸が例としてあると覚えればよいです。
故に、フマル酸とマレイン酸の解離定数から、分子間水素結合が分子内水素結合よりも強いということがわかります。分子内水素結合は沸点や融点を決定する能力はなく、ただ、分子構造を安定化させるためだけの存在とも言い換えることができます。
分子内水素結合を持つ例を他に挙げるとすれば、タンパク質やDNAが有名ですね。

hizumi

水素結合の沸点と周期との関係の表を資料集等で見ると面白いかもです。
族の下の方にいくに従って沸点は上昇すると誰しも予想できるのに対して、NH3やH2OやHFはなんで沸点高いねん?っていう疑問も湧くでしょうし、ここは非常に興味深いテーマですね。

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