まず、「召す」というのはサ行四段活用の動詞です。
①他動詞の場合は、
1.「呼ぶ」「招く」の尊敬語で、「お呼びになる」、「お招きになる」のように訳します。
2.「取り寄す」の尊敬語で、「お取り寄せになる」のように訳します。
3.「飲む」「食ふ」「着る」の尊敬語で、「召し上がる」「お召しになる」のように訳します。
②自動詞の場合は、
1.「乗る」の尊敬語で、「お乗りになる」のように訳します。
では、なぜ「召し返す」が尊敬語になるのでしょうか。これは、「召し」の部分を元の形に戻してみるとよくわかると思います。
「召し返す」は「呼び返す」の尊敬語になります。「お呼び戻しになる」「物をお取り返しになる」のように訳をします。
上に記載した①他動詞の、1を見てください。「召す」は「呼ぶ」の尊敬語とあります。これに、「返す」というサ行四段の動詞がついたものになります。「呼び返す」、これを尊敬語にしろと言われたら、「召し返す」となります。「返す」という部分には敬語の意味はありません。
また、他にも、「召し上ぐ」、「召し集む」、「召し合はす」「召し出だす」「召し出づ」「召し入る」「召し置く」「召し具す」「召し籠む」「召し使ふ」「召し集ふ」「召し取る」「召し放つ」「召し寄す」などがあります。
これらは「召し返す」と同じように、「呼び」の尊敬語+敬語の意味を持たない動詞で構成されています。ほとんどが、「お~なる」と訳します。
例えばですが、「召し出づ」であれば、「呼び出づ」の尊敬語となります。「お呼び出しになる」と訳をします。
結論ですが、「召し返す」が尊敬語になる理由は、「召す」が尊敬の意味を持つ動詞だからです。
分かりにくかったらすみません。