まず憲法の書き出しについてですが、憲法は基本的に国家や企業の行為や、法令などがどのようにどんな憲法上の権利を侵害しているのかというのを問題提起として書くべきです
例えば、今回だと、
X(もしくは政府)が〇〇すること(法令の場合は〇〇法〇〇条が〇〇すること 今回は関係なし)によって憲法13条、25条で保障される〇〇権を侵害しないか
みたいな書き出しですね。
そして本来今回のような複数個の権利が侵害されている場合は、権利ごとに章立てて書くのですが、今回は両方に共通する問題である私人間効力論(一番最初のヒント)の話があるので先に論じてしまいましょう。
一番最初のヒントにも書いてある通り、憲法は本来国民と国家の間を規律するものですが、それを私企業であるXに対しても違憲である主張をしていいのかという問題点があることを指摘しておきます。(詳しくは三菱樹脂事件を参照)
そして最初のヒントについて書き終わったら各権利ついての論証をしていきます。
1.生存権について
今回は先に生存権のヒントがあるので生存権につきヒントにある通り、生存権の性質およびそれを踏まえて、不利益変更をどのように争っていくのかを授業を踏まえて書きます。
2.プライバシー権について
次のヒントにあるようにプライバシー権について学説はどのようにいっているのか、(学説が二つくらいあります)それに対して判例はどのようにいっているのか(プライバシー権についての判例、例えば京都府学連事件や指紋押捺事件、住基ネット訴訟などを参照。これらをよく見ると共通する文言が判旨の一番最初の方に載っています。授業では他のことも言っているかもしれないので要確認)を論証していきます。
3.当てはめ
以上各権利の総論的なことが言えたら、各権利ごとに当てはめていきます。まず、生存権の性質を述べたと思うので、原告が主張している権利(具体的に書くこと)がこの生存権の性質にあてはまり憲法上保護されるのか、そしてそのような権利につき、どのように制約されておりその制約は許されないということを理由を付して回答します。
そしてプライバシーの権利についても同様の手順で書いていきます。プライバシーについてはその性質については学説、判例両方の立場がありますので両方の立場から原告が主張する具体的な権利が憲法上保障されるのかということを論述するのが問の答えとしては適切でしょう。そして同様にどのように制約され、その制約が正当化されない理由を書きます。
生存権、プライバシー権ともに制約が正当化されない理由については一番最初に書いた判例に則って論証した方が良いです(判例はどのような基準を立てたのかを意識する)
以上ざっと説明しましたが、問いの出し方がかなり特殊なのでもしかしたら授業内で論述問題に関することを言っていたかもしれないです。
その場合にはそれも参考にしつつ論述をしてください
良い成績が取れることを願っています。
生存権の具体化において、国はどのような地位を有するのかということについて、講義動画も講義資料も教科書でも見てみたのですが、なかなかピンときません。朝日訴訟の国の裁量についてなのかなと思ったのですが、これは多分無関係ですよね、、、?
返信遅くなりました。
もう終わってしまっていたら申し訳ないです。
おそらくですが、生存権が憲法上どのような性質をもつ権利なのかを論証することになると思います。
生存権は憲法の文言からして法律によって具体化されるものです。(詳しくは25条の文言を参照)
そして、法律によって具体化された生存権の内容を遵守しなければ憲法違反かつ、その生存権の内容を具体化した法律に違反するものであるという説があります。(抽象的権利説)
一方、生存権というのは国の給付によって成し遂げられる社会権であることから、そもそも25条は国に特定の義務を課しているものではなく、貧困に困っている人を助けようという宣言をしているに過ぎないという説もあります(プログラム規定説)この説によればそもそも25条は法的にはなんら意味を持たないため、違憲、違法を観念できないことになります。
また、少数説ですが、憲法の文言によらず、生存権という具体的な権利を法律による確定を待たずして憲法が規定しているという説もあります。(具体的権利説)
確かに判例はプログラム規定説と抽象的規定説的な判示をしているのでどちらの説をとっているのかがなんとも言えませんが、現在の圧倒的通説は抽象的権利説なのでその説を取ることをお勧めします。
最初のヒントについて若干わかりにくいと思ったので補足するともちろん問題点を指摘した上で判例はどのように処理をしたのかを書いてください。