理科
中学生
解決済み

少し前に理科で気象について習ったのですが、
前線と前線面の違いがいまいち理解できません。
詳しく説明して頂きたいです🙇‍♀️

雲のでき方と前線 前線と前線面のちがい

回答

✨ ベストアンサー ✨

非常に良い質問です。多少専門的な知識を含みますが、解説します。

前線とは「異なる密度(気温)の気団が接する場所の、気温差の大きい領域」における境界線のことです。寒気と暖気がちょうどぶつかり合うところは、寒気側と暖気側で温度差が大きくなりやすく、図で帯状の紫マーカーで示した領域が「気温差の大きい領域」です。前線には一応定義上のルールとして「暖気側」の境界のことを前線と呼ぶことになっており、解説図にも書きましたが

地上前線:地上において異なる気団(寒気・暖気)がぶつかり合う所の、「暖気側」の境界線
前線面:前線における「暖気側」の面のこと

よって、寒冷前線であっても「暖気側」の境界に引かれるというのが決まりです。

さらに解説図における紫の領域には、垂直(縦)方向の断面と水平(横)方向の断面とで呼び方が違います。

縦方向の断面:転移層
横方向の断面:前線帯

解説書によっては前線帯・転移層を特に区別しないで記載していることがありますが、正式には上記のような区別をします。また紫の領域のことを「前線帯」とすることもありますが、転移層は垂直方向の断面です。

以上、前線とは「異なる気温の空気団がぶつかり合う、気温差の大きい領域」であり、地上においては「暖気側」の境界線を地上前線としています。前線面とは前線における「暖気側」の面という事になります。

じょう

補足。

気象学でいう「前線」の語源は、軍事学における「前線」を語源としています。軍事における前線とは「激しい戦闘が現在進行形で行われている場所」であり、最前線のことです。上記の定義でイメージしづらい場合は「天候が激しく変化しようとしている場所の境界」と考えてください。よって前線がある場所は上昇気流が発生し、厚い雲が掛かり、雨が降り、風が強く吹くのです。

前線を引くことができる場所は、天気図上で気温差が大きい所の南側の縁という風にほぼ決まっていますが、前線を境にして風向が大きく変わることが知られています。専門的には「風向シア」があるという表現をしますが、前線を探るときは気温差だけでなく、風向の変化にも注目したうえで判定しなくてはなりません。前線面の検出を気象庁が提供する「ウィンドプロファイラ」というデータで検出する場合がありますが、前線面に相当する所は縦方向において風向が切り替わっている様子が見られるのです。

したがって、前線面のもう一つの重要な意味を記載するなら、縦方向に風向が切り替わる場所が前線面であるという事です。具体的には、

寒冷前線面:下から上にかけて風向が西北西(北西)⇒西南西(南西)に変化する
温暖前線面:下から上にかけて風向が南南東(南東)⇒南南西(南西)に変化する

前線面を見つけるには、気温の変化よりも「風の変化」に着目する必要があるのです。

じょう

補足②

ウィンドプロファイラを使った前線面の解析例を紹介します。私が気象予報士試験勉強で使用しているテキストからの引用ですが、本テキストを出版された荒山幸裕先生は私の師匠であり、とても優れた知識と経験のある先生です。

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