✨ 最佳解答 ✨
勉強お疲れ様です。小生の知識があなた様のお力になれれば幸いです。
逆滴定に関する問題ですね。酸・塩基に関する発展的な内容です。具体的な問題の考え方に入る前に少し寄り道をして、「逆滴定とはどのようなものか」を確認しましょう!
〇逆滴定とはなにか?
酸・塩基における通常の滴定は酸が溶けた溶液に塩基が溶けた溶液を加えて中和させるものです。しかし、アンモニア水は気体になりやすい性質(揮発性という)があって、アンモニア水の滴定量を正確に測定することが難しいのです。そこで考えられたのが気体のアンモニア水に溶かさないで気体のまま中和する方法が考えられました。それが逆滴定です。
そこで問題になったのが、高速で飛び回るアンモニアをぴったりかつ完全に中和させることがほぼ無理であることです。よって、考えられた方法は「ぴったりアンモニアを中和させるのが難しいなら絶対反応するくらいたくさんの酸を用意して、あとから別の塩基でもう一回中和すればいい」というものです。具体的に、【●molのアンモニアに50[mol]のH+が入った硫酸を用意させて、その後に余ったH⁺を水酸化ナトリウム中和させたら49[mol]必要になった。】といった具合です。ここからアンモニアは1[mol]だと推理できますよね。これが逆滴定の概要です。
〇逆滴定の関係式
上述の内容から以下の関係式が成り立ちます。
(H⁺の物質量"n")=(アンモニアの物質量"n'")+(別のOH⁻の物質量"n''")
※正確には「アンモニアの物質量n'」ではなく、「アンモニアから得られるOH⁻の物質量」ですが、アンモニアは過剰量加えた酸性水溶液中
で水に溶けて NH₃+H₂O→NH₄⁺+OH⁻ となり、1molのアンモニアから1molのOH⁻が得られるため、同じと考えていい。
ここまでがが逆滴定に必要な前提知識です。ここで質問者様の疑問である「硫化アンモニウムと水酸化ナトリウムの反応を考えていないのはなぜか?」という内容を考えましょう。まず訂正ですが、硫化アンモニウムではなく硫酸アンモニウムですね。初学者にありがちですが硫化とは硫黄原子Sがくっついたことを表すためNH₄Sになってしまいます。気をつけましょう。
質問者がどこまで学習したのか不明ですが、「弱塩基の塩の加水分解」より、弱塩基の塩である硫酸アンモニウムからH⁺が出てくるのは事実です。しかし、中和滴定というのは無責任なもので「塩の加水分解からH⁺でてくるけど、最初のアンモニアからでたOH⁻を消せたからOK!後のことは知らん!」といった具合で、元の酸塩基の中和だけで加水分解後のH⁺やOH⁻は無視します。これが中和点がpH7にならない理由ですね。
いかがでしたか?この内容は発展的な内容であるため、質問者様の聡明さとそれによる鋭い疑問には感服しました。分からないことは先生にたくさん質問して学びを深めていってくださいね!
ごっつあんです…