176. 酸化還元反応の量的関係
解答 (1) 0.50mol (2) 塩酸中の塩化物イオンが還元剤として働き,
過マンガン酸イオンと反応するから。
解説 (1)問題文中の反応式を,次のように①,②とする。
MnO4¯+8H++5e- → Mn²+ + 4H2O
...1
(COOH)2
2CO2+2H++2e-
...2
①から1mol の MnO4- が e- を5mol受け取り
②から1mol の
(COOH)2がe-を2mol 放出することがわかる。 酸化還元反応では, 酸
化剤が受け取る e-の量と, 還元剤が放出するe-の量とが等しいので,
求めるシュウ酸の物質量を x [mol] とすると、次の式が成り立つ。
0.20mol×5=x[mol] ×2 x=0.50mol
別解 ①×2+②×5によって,この反応のイオン反応式を作成する。
2MnO4- +6H+ +5(COOH)2 2Mn²+ + 10CO2+8H2O
この式から1mol の MnO4- と 5/2mol の (COOH)2が反応することがわ
かるので 求めるシュウ酸の物質量は, 次のように求められる。
0.20mol× =0.50mol
(2) 一般に,酸化還元反応は, 酸性の水溶液中で行われる。このとき,
希硫酸を加えて水溶液を酸性にする。 水溶液を効率よく酸性にするため
には,強酸を加えるのがよい。 しかし, 代表的な3つの強酸のうち、硝
酸は水溶液中で酸化剤となり, 塩化水素は還元剤となる。一方,硫酸
は水溶液中では酸化剤にも還元剤にもならない。したがって, 酸化還
元反応の量的関係を調べる場合には、水溶液を希硫酸で酸性にする。
177. 酸化還元反応・
塩酸では次のような反
応がおこり,塩化水素が
還元剤として働く。
2C¯¯ → Cl2+2e-
[+HS+ OsH
② これは希硫酸中に含ま
NY
れる硫酸イオンSO²
が,水溶液中で安定であ
るためである。 なお, 濃
硫酸(濃度約98%) では硫
酸が電離していないため,
濃硫酸を加熱すると, 酸
化剤として働く。
③ 酸化剤として硝酸水溶
液(希硝酸、濃硝酸), ま
たは還元剤として塩酸を
用いる場合には,硫酸で
酸性にする必要はない。