次の文章を読み, 問 1,2に答えなさい.
演習問題 11
塩化銀 AgCl や硫酸バリウム BaSO4 などは難溶性の塩である. しかし,これらの難溶性塩は水に
まったく溶けないわけではなく、わずかに溶解する。
AgCl を水中に加え,よく混ぜたときに固体が溶け残ったとすれば,上澄みの水溶液は飽和水溶液で
ある。AgCl の飽和水溶液では,溶解した微量の AgCl は Ag+ と Clに完全に電離しており,次の溶
解平衡が成り立つ.
AgCl(固) Ag+ + Cl¯
飽和水溶液で溶け残った AgCl(固) の濃度 [AgCl(固)] は一定とみなしてよいので,各イオンの濃度
をそれぞれ [Ag+], [Cl-] とすると AgClの溶解度積 Ksp は以下の式のように表される.
[Ag+][Cl-]=Ksp
リウム溶液を
AgCl が s〔mol/L〕まで純水に対して溶解すると, Ksp と s の間には次式の関係がある.
Ksp=(あ)
MPE
また、温度一定のもと AgClの飽和水溶液に塩化水素 HCI を通じると白色沈殿が生じる. これは
(い)によるものと説明できる.
このような金属塩の沈殿の現象を利用して銅(II)イオン Cu2+ と亜鉛イオン Zn²+ を分離すること
ができる. Cu2+ と Zn2+ は硫化物イオン S2-と反応し,それぞれ硫化物の沈殿を生じる.また,硫化銅
(II)CuS と硫化亜鉛ZnSの室温での溶解度積はそれぞれ 6.5×10-30 (mol/L)2, 2.2 × 10-18
である。よって, Cu2+ と Zn2+ を共に同じ濃度で含む水溶液に硫化水素 H2Sを通じたときに,硫化
(mol/L)2
物イオンの濃度 [S2-] が十分小さい場合はまずう)の沈殿が生じる.この沈殿を除いたのち,液
性を変えて [S2-] を十分大きくすると,もう片方の金属イオンの硫化物の沈殿が生じる.硫化水素の電
離平衡を考えると,水溶液の液性は酸性よりも塩基性であるほうが [S2-]が(え)なる.