2 光波 73
91.〈薄膜による光の干渉〉
図1に示すように,空気中で水平面上に置かれた屈折率 n の平坦なガラ
ス板の上に,屈折率 n1 で一様な厚さdをもつ薄膜が広がっている。 波長 入
の単色光を薄膜表面に対して垂直に入射させ,薄膜の上面で反射する光線 ① 空気
と,薄膜とガラス板の間の平坦な境界面で反射する光線② の干渉を考える。
折率を1とし、 > n>1 の場合を考える。 屈折率 n1, n2 が光の波長によっ
光線 ① 光線 ② が干渉して生じた光のことを干渉光とよぶ。 いま, 空気の屈
て変わらないとして,次の問いに答えよ。
(1) 薄膜中の光の波長 入を, n, 入o を用いて表せ。
(2)薄膜の厚さを0から連続的に増していくと,光線①と光線②からなる干渉光は,強めあっ
て明るくなったり,弱めあって暗くなったりした。 干渉光の明るさがん回目の極大となっ
たときの薄膜の厚さ dk を, n1, 入o, k(k=1,2,3,…)を用いて表せ。
(3)薄膜の厚さ dk のときに,入射する単色光の波長を 入。 から短くしていくと,干渉光は一度
暗くなった後、再び明るくなり極大となった。 このときの入射光の波長 入z を,入o, k を用
いて表せ。
(4) (3)の観測において,入射光が入。=500nmで明るかった干渉光は、波長を短くしていくと
一度暗くなった後, 入2=433nm で再び明るくなった。 薄膜の屈折率を n = 2.0 として
薄膜の厚さ dk の値を求めよ。
次に,図2に示すように, 波長 入 の単色光を薄膜表面の法線に対
して入射角i (i <90°) で入射させた。このとき,薄膜の上面で反
射する光線 ① と, 薄膜の上面において屈折角で屈折して薄膜とガ
ラス板の間の平坦な境界で反射し, 薄膜の上面に出てくる光線②と
の干渉を考える。 これらの光線は図中の点 A1, A2 において同位相
であるとする。
図2
(5) 薄膜の屈折率 n, 入射角i,屈折角の間の関係式を示せ。
(6) 光線 ①と光線 ②の干渉光が強めあって明るくなる条件を,屈折角,屈折率 n, 厚さ d,
入射光の波長 入と整数m (m=0,1,2,3,… を用いて表せ。
(7) (6)の条件を,入射角i,屈折率 n1,厚さd,入射光の波長入と整数m(m=0,1,2,3,
・・・) を用いて表せ。
(8) 垂直入射(入射角 i=0°) で明るかった干渉光は,入射角iを大きくしていくと,一度暗
くなった後、再び明るくなり極大となった。このときの入射角を i=i としたとき,と
薄膜の屈折率 n, 整数mが満たす関係式を求めよ。
①
薄膜
ガラス板
空気
薄膜
ガラス板
図 1
法線 法線
[17 大阪府大改〕
2I