12光
991.〈薄膜による光の干渉〉
図1に示すように,空気中で水平面上に置かれた屈折率 n の平坦なガラ
(1)
ス板の上に,屈折率 n で一様な厚さdをもつ薄膜が広がっている。波長
の単色光を薄膜表面に対して垂直に入射させ,薄膜の上面で反射する光線 ① 空気
と。薄膜とガラス板の間の平坦な境界面で反射する光線②の干渉を考える。
光線①と光線②が干渉して生じた光のことを干渉光とよぶ。いま,空気の屈
折率を1とし,n>n>1 の場合を考える。 屈折率 n1, n2 が光の波長によっ
て変わらないとして,次の問いに答えよ。
薄膜
(2)
(1)薄膜中の光の波長 入 を, n1, 入。 を用いて表せ。
(2)薄膜の厚さを0から連続的に増していくと, 光線 ①と光線 ② からなる干渉光は,強めあっ
て明るくなったり,弱めあって暗くなったりした。 干渉光の明るさがん回目の極大となっ
たときの薄膜の厚さ dk を, n1, do, k (k=1,2,3, ・・・) を用いて表せ。
(3) 薄膜の厚さ dk のときに, 入射する単色光の波長を入から短くしていくと, 干渉光は一度
暗くなった後,再び明るくなり極大となった。 このときの入射光の波長入を 入o, kを用
いて表せ。
13
14
(4) (3)の観測において,入射光が入。=500nmで明るかった干渉光は、波長を短くしていくと,
一度暗くなった後, A2=433nm で再び明るくなった。 薄膜の屈折率を n = 2.0 として
波 73
の厚さdkの値を求めよ。
次に,図2に示すように, 波長入 の単色光を薄膜表面の法線に対
して入射角(i<90°)で入射させた。このとき,薄膜の上面で反
射する光線 ① と, 薄膜の上面において屈折角で屈折して薄膜とガ
ラス板の間の平坦な境界で反射し、薄膜の上面に出てくる光線②と
の干渉を考える。 これらの光線は図中の点 A1, A2 において同位相
であるとする。
図2
(5) 薄膜の屈折率 n, 入射角i, 屈折角の間の関係式を示せ。
(6) 光線①と光線②の干渉光が強めあって明るくなる条件を,屈折角 1,屈折率 n, 厚さd,
入射光の波長 入と整数m (m=0, 1 2 3 ) を用いて表せ。
(7) (6)の条件を,入射角i,屈折率n,厚さd,入射光の波長 入と整数m (m=0,1,2,3,
・・・) を用いて表せ。
(8) 垂直入射(入射角 i=0°) で明るかった干渉光は入射角を大きくしていくと,一度暗
くなった後、再び明るくなり極大となった。このときの入射角を i=i としたとき、ふと
薄膜の屈折率 n1, 整数mが満たす関係式を求めよ。
①1
空気
薄膜
ガラス板
ガラス板
図 1
法線 法線
A
[17 大阪府大改]
ヒント 91 〈薄膜による光の干渉〉
( 2 ) 1回目の極大(k=1) が, 一般的な強めあう条件のm=0 に対応することに注意する。
(3) 強めあう条件は波長と波の数m+
1/23) の積なので,入が小さくなると(m+
m+
(8) 入射角が大きくなると、光路差 2d iniが小さくなることに注意する。
20
よって
(1) 屈折の法則 ※And より 1.Ào=n・入1
n1
(2) 光線 ①と光線 ② の経路差 41 は, 薄膜の厚さの往復分なので4l=2d であ
る。 「光路差= 屈折率×経路差」 より
2nd = (m + 1) do
20
..1
n4l=n₁ Al= 2n₁d
光線①の反射では位相が反転する (半波長分ずれる)が,光線②の反射では位
相変化はない。以上より, 光線 ①と②が強めあう(干渉光の明るさが極大に
なる)条件は整数m(m=0,1,2,3,…..) を用いて
2ndk=k-1+
1回目の極大(k=1) が②式のm=0 に対応するので,回目の極大は
m=k-1 のときである。 そのときの薄膜の厚さがdkなので, ②式より
dx=(k-1 + 1/ ) do=(x - 212 ) do
(k-1/2)40_21-1-20
よって dk=
2n1
4n₁
(3) ③式において単色光の波長を小さくしていくと,光路差 2ndk の中に含ま
れる波の数が増えるので、干渉光が再び明るさ極大になるときに波長 入2 の
満たす条件は
2ndk=k+
/ -) ₁₂ * B *
2B
2
③式 ④式より 入z= -λo=
1 2k+1
2k-1A0
k+
(4) 入。=500nm,入2=433nm と⑤式より
2k-1
433=
--500
2k+1
=
よって k=
933
134
1/12 ) が大きくなる。
-=6.96≒7 (kは整数)
(2)の結果に,k=7, n=2.0, 入。=500nm=5.00×10-7m を代入すると
(2×7)—1
d₁=
×5.00×10=8.125×10≒8.1×10-m
4×2.0
(5) 屈折の法則 「nsinO=nsin02」 より (図a)
1•sini=n*sinr よって sini=nsinr
・③
・④
5
6.
A 屈折の法則
n₁ sin 0₁=n₂sin 0₂
N1V1=n₂V2
nid₁=n₂d₂
◆B干渉光が極大になる
条件である ③ 式
nds=(k-1 1/2-) 20
において, 波の数k
数 ( k - -1/2) [と]
波長入の積が一定である。 こ
れより入が小さくなると
(k-1212) が大きくなるので、
入に
{(*+1)--( * ++)
が対応する。
空気 (n=1)
薄膜 (n1)
a
(6) 図bにおいて, A1 と A2 は同一波面上の点なので同位相である。
A,B, の光路長は1×AB=×AB2sinr=AB2nsinr
A2B2 の光路長は 1×A2B2=AB2sini
AB2n1sinr=AB2sini
⑥式を用いると
となり, AB の光路長と A2B2 の光路長は等しくなる。A1とA2が同位相
であるから, B1 と B2 も同位相であるc。したがって,光線①と光線②の
経路差⊿l は,B,C と CB2 の和になる。 B2 から薄膜の下面に下ろした垂線
の延長線と, AC の延長線の交点を B2' とすると
経路差 ⊿l=B,C+CB2=BiC+CB2′=B1B2'=B2B2′cosr=2dcosr
よって,光路差nalはn4l=nB2B2′cosr=2nd cosr
光線①の反射では位相が反転するが,光線 ② の反射では位相変化はない。以
上より, 光線①と②が強めあう条件は
2ndcosr=m+
² + 1/2 ) ²²₁
λ3
(7) 「sin²0+cos²0=1」の関係と⑥式より
cosr=1-sinr=1-(sini) =
これを(6)の結果に代入すると
2ndy
/m-sin²i = (m+1/21) 23 よって2cvm-sini = (m+12) 2
n1
(8) 入射角 i = 0°のときに干渉光が明るくなるので, (7) の結果より
2d/m²-sin²0°=2nd=(m+/1/2) is
3
0°≦i<90°の範囲で, i を大きくすると光路差2d-iniは小さくな
るので, i=i のときに干渉光が明るくなる条件は
2d√mi-sin'is = (m-212)kg
√n₁²-sin²i
n1
⑦ ⑧
ただし,⑦式より i=0, m=0 では光路差は12/23kgとなり,iを大きくした
ときに次の極大点をとりえないので、m≧1 となる。
(m-1/-)13
2d√n²-sin²i₁
2n₁d n + 1/1/1 ) 1²³
√n₁²-sin²i₁2m-1
ni
(ただし, m=1,2,3,..)
よって
2m+1
(整理すると (2m+1)'sin²i=8mni² )
8
(2)
空気(n=1)
薄膜 (n1)
ガラス(n2)
n₁ > N₂ > 1
B₁
A2
B2
d
ID 2d
B 2 ′
図 b
◆C同位相の点をつない
だ線を波面という。 波は波面
と直角方向に進むので, AC
と直交する線分B1 B2 は1つ
の波面となる。 よって, B1
と B2 は同位相である。
とても分かりやすくて助かりました。
ありがとうございます!