斜陽は‥‥の部分
メロスは身も心も相当疲れ切っていた。もう、どうでもいいや、という気持ちになったこともあったけれど、やっぱり友人が待っていることを思い起こしてみた。だめだ、裏切れない! 王にも誓ったではないか。そう思うと、日没近く、もう間に合わないと思ったときよりも、ずっと日差しは強く、木々もいきいきと輝いている! そうだ、まだ自分は大丈夫だ、と勇気がみなぎってきた。
という印象ですね。
次に作品について。
太宰は、たぶん人のことを信じられなかったんだと思う。実人生では、いろんな女性に裏切られっぱなしだったから。でも、口では人は信じられない、と言っても、本心ではやっぱり信じたい! という気持ちがあったんだと思う。王のように猜疑心にさいなまれる現実の自分、それを覆すようなヒーローの存在を待ちわびていた。だから、王は最終場面であんなに心を動かされ、友人になりたい、とまで言ったのだろうと思う。メロスは理想の自分、王が現実の自分を表しているのだと思います。