✨ ベストアンサー ✨
せっかくなので丁寧に説明します。長くなるので、必要なところだけ見てほしいです。
電磁誘導の法則は、高校入試の問題では、普通は「N極を近づけたら検流計が右に触れた」などと書いてあることが多いので、ここから「極」と「近づける遠ざける」の1つの条件を変えたら逆に、2つともかえたら逆の逆でそのままと考えることもできます。
しかし、それは本質的ではないのでより深い理解をするためには、書いていなくてもできる方がいいと思います。
【磁界とは?磁力線とは?】
そもそも磁石のまわりには、磁界と呼ばれる空間があります。例えば、地球上でものを落とせば下に落ちますが、それは重力場という重力がはたらく空間にいるからです。磁界(磁場)も同じで、磁石のまわりに磁気を帯びた粒を置いたら、N極から出てS極に吸い込まれるような力を受けます。[磁界は少し難しく言うと+1wbの粒を置いたときに受ける磁気力のことで、WbはN極の強さを表す単位(ウェーバー)]
重力が目には見えないように、磁界も目に見えないので、磁界は磁力線という架空の線を使って書き表します。
【電磁誘導の法則】
コイルに磁石を近づけたり遠ざけたりすると、コイルの中を貫く磁力線の本数が変化します。(写真)
このとき、コイルには起電力(電気を起こそうとする力のことで、ほぼ電圧と同じ意味)が生じます。(このとき発生した起電力を誘導起電力といいます。)このときに発生する電圧(誘導起電力)の向きと大きさについて、成り立つ法則が電磁誘導の法則です。また、電圧が生じるということは、そこに電流が流れるということで、これを誘導電流といいます。
・大きさに関して
中学では習わないかもしれません。
コイルの巻き数に比例します。
また1秒あたりにどれだけ磁力線が増えたかにも比例します。ちなみに、まわりの空間によって磁力線の本数の密度が変わるので、たとえば鉄芯を入れたりするとより密度の濃い磁力線になり、結果として磁力線の本数も変化しやすくなるので、大きくなります。(ちょっと難しい言葉でいうと、まわりの空間を満たす物質によって決まる透磁率が変化することで1m^2あたりの磁力線の本数(磁束密度)が変わります。)
ここらへんの話は高校物理になるので、高校で詳しく習います。
次に向きについて話します。一回切ります。
・向きについて
向きは教科書通りに書くと
「コイルを貫く磁力線の本数の変化を妨げようとする向き」です。大事なのは「変化」を妨げるということです。
向きは次の4つの手順で考えると考えやすいと思います。
【N極を近づけた場合】
①N極を近づける。コイルを下向きに貫く磁力線が増えていく。
②磁力線が下向きに増えるのを妨げたい!そのためには上向きの磁界を作りたい!
③そのためには、右ネジの法則より反時計まわりの円電流を流さないといけない。
④その向きに電流を流すために起電力が生まれる。
N極を近づける場合は簡単なんですが、間違いやすいのはS極を遠ざけるときです。
間違い例
①上向きの磁界が生じるS極を遠ざける。
②上向きの磁界を妨げるために下向きの磁界を増やしたい。
③そのためには右ネジの法則から時計まわりの誘導電流が発生する必要あり。
④そのために起電力発生。
どこが間違っているかというと「上向きの磁界を妨げるために」というところです。
何度も言いますが、ポイントは磁界の「変化」を妨げる向き。だから、今回であれば上向きを妨げるのではなく上向きに減るのを妨たげないといけないので、上向きに減っているのを妨げるためには上向きを増やしてやらないといけません。そのためには右ネジの法則より反時計まわりの電流が必要なので、その向きに流れるような起電力が生じて、それにより反時計まわりの誘導電流が流れます。
一応、練習問題も貼っておきます。N極を遠ざけるときとS極を近づけるときもやってみてください。どちらも時計まわりの誘導電流が生じるはずです。
練習問題の答え
(1)ア
(2)ア
(3)ウ
(4)イ