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高校生

傍線Bの意味がわからないです、似ているものを嫌っていること以上に、その中に、自分自身を見出せることが嫌といことですか?

【②-5】[標準解答時間 15分] 次の文章を読んで、後の問に答えよ。 漱石がロンドンの安下宿で「神経衰弱」になるまでに苦しんだのは、心細いほど金が なかったせいだけではない。自分がこれから、研究しようとしている「英文学」の存在 がきわめて頼りないものだったのだ。それは二一年間の留学期間で研究しなければならな い漱石自身のアイデンティティーをも脅かさずにはいない。自分がいっ さい何をして いるのかわからないというのは恐ろしいことだ。 やむなく漱石は、有名な作品、題名だけは知っているが、まだ読んでいない本を、こ の機会にとにかく手当たり次第、一冊でも余計に読破するという「検束なき読書法」で 読み進めていくことにした。だが、やがて一年後、読了した本は読んでない本と比較して、 ごくわずかな量にすぎなかった。漱石はこの事実に打ちのめされ、いわゆる「神経衰弱」 になるのである。 漱石のこの苦しみについて、英文学者であり作家でもある吉田健一が、たいへん「辛 辣なことを言っている。吉田健一によれば、まだ読んでいない本の数に悩まされるとい うのは、要するに一つの作品を読んで得られるものが少なく、つまり作品理解の程度が 10 27 5 別冊 実践編
瀬石 浅いということであり、つまり漱石は一行の詩を発見した喜びを知らなかったのだと 書いている。これはおそらく、漱石の才能に対して向けられた最も厳しい評価だといっ ていい。吉田健一は戦後の講和条約の時期に内閣総理大臣を務めた吉田茂の長男で、子 どものころから当時、大使館 員 だった父の仕事の都合で外国での生活を経験していた。 イギリスではイギリスの小学校、中国でもイギリス人小学校に通って、長じてはケンブ リッジに留学している。煤煙のロンドンで安下宿に籠城していた漱石とは違ったイギ フリス体験をしていたことはまちがいない。 * ウ 漱石もオックス・ブリッジへの入学を考えなかったわけではないし、イギリス紳士風 俗に一応の敬意を払ってはいたのが、しかし、その環境に自然に溶け込むことはでき えなかった。漱石の主観としては、彼のイギリス体験は最悪に近いものである。当時、漱 石の年齢はすでに三十代半ばになっており、すんなりと異文化に触れることができない 程度に頑固になっていたし、また、それ以上に英国紳士風を学ぶに先立つ経済的な余裕 が決定 的 に た りなかっ 。 た 吉田健一は一九一二年、明治から大正に改元した年に東京で生まれた。日本の英文学 者として漱石のいわば後輩であると同時に、洗練された批評眼で評価の高い文芸評論家 であり、かつ、すぐれた作家でもあった。英文学者から作家になったという点では漱石 と共通の経歴を持つ吉田健一の漱石嫌いは伝説的だが、しかし彼の晩年の回想文にはつ 3 ぎのような一節がある。 ある一冊の本を読み終えた所で、まだ読まなければならない本は何百冊、何千冊と あってそれと比べれば読んだばかりの一冊はないも同然だった。あるいはドイツ語を 覚えてもまたギリシア語、ラテン語があって、リラダン(フランスの小説家・詩人) の短編小説の冒頭にヘブライ文字の句が引用してあるのを見て打ちのめされたのに近 いものを感じた。(『思い出すままに』) 漱石嫌いの吉田健一向に無限の本に打ちのめされるという読書体験の質を知ってい た。そうであれば、「英国の文学作品に対する彼(漱石)の理解の程度を疑わせる」といっ た辛辣な漱石評も、 近親憎悪以上の、壮大な自己嫌悪の表明だったのかもしれない。 (佐藤泉「漱石 片付かない 〈近代〉」) オックス・ブリッジ=イギリスのオックスフォード大学とケンブリッジ大学を合わせた略称。 傍線部ア〜ウの漢字の読みを記せ。 20 問2 傍線部A「漱石は一行の詩を発見した喜びを知らなかったのだ」とあるが、 どういうこと か。その説明として最も適当なものを、次の①~⑤の中から選べ。 × ① 漱石は量ばかりを考え、一行から読み取れる多様な意味を読み取れなかったということ。 ② 読んでいない本の数に悩まされる漱石は、英文学者には向いていなかったのだということ。 29 別冊 編 [2-5] 28

回答

前半の似ているものを嫌っていること(いわゆる同族嫌悪)は大体合っていますが、自分自身を見出せることが嫌というのは少しづれていると思います(これもどちらかと言ったら同族嫌悪)
自己嫌悪とは自分のことが嫌になること、つまり自己否定的な感情です。筆者は晩年に吉田健一が自分が漱石と同じく、読まなければならない本がまだまだ合って打ちのめされたと書いている(つまり自分が漱石と似ていることを自覚していた)ことから、筆者は吉田健一が漱石を批判したのは自己に対する否定的、批判的な意味合いが強かったのではないかと考えているわけです。

国語の苦手な人なりに頑張って回答を作ってみました。もしかしたらまだ違っているかもしれません。わからないことやまちがっているところがあれば教えてください。

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