以下判例の見解です。
仮に、AがBにしっかりと情報提供をしたとしましょう。
そうすると、Bは契約がおかしいことに気づき、Aと契約を結ばなかったと思います。
一方Aがしっかりと情報をBに提供しなかったことからBはAと契約を結んでしまい、Bは損害を被ってしまったのです。
すなわち、Bが損害を被ったのはおかしな契約を結んだことが原因なのです。
極端な話、BのAに対する損害賠償の内容は、契約を結んだことで失われた損害を補償するものなので、契約がない状況に戻すことになります。
一方、債務不履行に基づく損害賠償請求とは、ある契約があったにもかかわらず、その契約が守られなかったことによって被った損害を補償することにあります。すなわち、契約がしっかり履行された状況に戻すことを目的とします。
以上を比べると本件は通常の債務不履行に基づく損害賠償請求と異なり、契約がないことを前提とした補償を目的とするので明らかに債務不履行に基づく損害賠償とは性質を異にします。
そこで、契約に基づいた損害賠償にはならないが、不法な契約を締結させたという不法行為に基づいて損害賠償は可能なのです。