条件説とは行為がなければ、結果が発生しなかったであろうという場合に因果関係を肯定するものです。
そのため設問1は甲が乙を殴らなければ乙は不発弾が埋まっている場所に倒れなかったことから、条件関係が認められて因果関係が肯定されます。
相当因果関係説のうち客観説は事情を行為時の事情と、行為後の事情に分けて、行為時の事情は全て考慮し、行為後の事情は行為者が予見可能であれば、考慮して行為から社会通念上結果が発生することが相当であるか否かを検討するものです。
設問1は、行為時の事情である不発弾が地面に埋まっていたという事情を考慮して、殴られた乙は後ろに倒れて地面に当たるのは通常起こることであり、結果発生の相当性が認められるので因果関係が認められます。
折衷説は行為時の事情と、行為後の事情両方とも一般人からして予見ができたものか一般人が予見できなくとも行為者が特に予見していたものについては考慮要素に含めて結果発生が社会通念上発生するのが相当であるかを検討するものです。
設問1は不発弾が地面に埋まっているという事情は戦後何年も経っている日本においては通常あり得ないことで、一般人にとっては予見不可能です。一方甲が知っていた若しくは知り得ていたならば不発弾が地面に埋まっているという事情も考慮して、乙死亡の結果が行為から社会通念上発生するのが相当であるかを検討します。
危険の現実化説は行為時及び行為後の事情を全て考慮要素として、行為後の事情があればその事情が異常であるか、結果発生に対して直接的に原因となっている(寄与度が高いという)かを考慮して行為が有していた危険が現実化したか否かで因果関係を判定します。(言い換えれば、介在事情が異常で、寄与度が高いのならば結果は行為ではなく介在事情の有していた結果発生の危険からしょうじたといえ、因果関係は否定されます。)
設問1については、行為後の事情がないので、相当因果関係説の客観説と同様因果関係が認められることになります。
以上各説をまとめましたので、これを参考に各設問を検討してみてください。
まとめ
行為時の事情を考慮→条件説、客観説、折衷説(ただし、上記の要件あり)、危険の現実化説
行為後の事情を考慮→条件説、客観説、折衷説(両説とも要件あり)、危険の現実化説
行為後の事情の重みづけを行う→危険の現実化説