現代文
高校生
解決済み

この文章の内容と一致しないものを選びなさい、という問題で、以下の選択肢が正解になる理由を教えてください!

正解の選択肢↓
「人間における付加的価値の差を解消することが、未来へ向けでの人間の使命である。」

読解編 第8回 伝えたい文の把握(③ 次の文章を読んで、後の設問に答えよ。 早稲田大(商) 民族の純血、民族の浄化、という思想が荒れ狂っている。この思想は、六〇〇万人のユダヤ人を虐殺した ヒトラーの狂気とともに、人類が永遠に地獄にフウインしたはずなのに、今ふたたび地中から甦り人間の生 血を吸い始めている。 この狂気の思想の底にあるものは、差別の意識である、と言ってよいだろう。人種の 差別、性の差別、貧富の差別、階級の差別、宗教の差別、 こういう差別意識が、自分とは違う人種、階級、 階級 宗教に属する他の人間たちを排除し、軽蔑し、奴隷化し、果ては抹殺しようとさえする動機なのである。で は、どうしたらこの差別意識を克服できるのか。それは、もちろん人間の平等を確立することによってであ 平等 る。アリストテレスは、『政治学』のなかで市民の概念を考究したが、この考究が現下の問題に光を投げかけ る、と筆者には思われる。 動機 市民 現下 ギリシア人が国家について語るとき、かれらはアテナイとかコリントなどとは言わずに、アテナイ人とか コリント人と言った。国家の実体は、それを構成している市民たちだからである。それ故、アリストテレス は国家について語るとき、「市民とはなにか」という問から始める。かれは、市民の定義を求めるにあたって、 まず、いくつかの不適切な市民概念の排除から探究を開始する。すなわち、まず一定の土地に住んでいるこ とが市民としての資格を与えるのではない。ある土地には、本来の意味での市民もいるが、若者もおり、老 1 30
2 R 63 UND IN EXE 人もおり、収もおり、 従事している外国人居留者もおり、外国人旅行者さえいるが、かれらがみな 市民なのではない。 若者は将来充分な判断力がわったときに本来の市民になりうるが、 発達してい ない時点では「不完全な」 市民であり、老人は逆に理性的判断力が衰えたためにタイエキの市民という意味 市民でない理由は、一言でいえば、 には理的・政治的活動に携わるに 充分な理性が備わっていない、 と見なされているからである。 本来の市民ではない。 こうして、アリストテレスは本来の意味での市民を次のように定義する。 「無条件的な意味での市民とは、 判決に関与することによって規定される」。これは、市民のまったく機能的な定義である。すなわ 「決」とは、判において一定の役を務める力を意味し、「支配」とは、立法、行政、その他の 国家の運営に関する同様の能力を意味している。これら二つのことについてをとりうる力をもつこと だけが市民の資格であるとアリストテレスは言っているのである。 ギリシアでは、伝統的に両が市民である子は市民として認められていたが、アリストテレスはこのよう 出自による資格付けを少なくともその理想においては廃棄しようとした、と言ってよいだろう。もし もこのような出自による格付けをカンテしようとするならば、三代前あるいは四代前に通ったとき、誰 がいつ市民になったのか、というアポリア(難問)が生じてくる。それに、出自による定義は、最初にポリ スを建設した人々には、論的に適用できない。だから、クレイステネスが五〇八年に革命を起こして 多くの外国人 を市民に編入してアテナイにデモクラシーの基礎を据えたとき、これ らの新しい市民たちは正 なのかどうか、という疑問はどうでもよいことになる。かれらが、倒れた 権力から見て、不当な仕方で市民になったとしても、かれらに上述の政治支配に関与しうる充分な能力 があれば、かれら に関してはそれでなんの問題もない、とアリストテレスは言っている。 上にセラリストテレスの市民は、未来に大きな可能性を開く、非常に革新的な市であると 18 言うべきではなかろうか。 アリストテレス自身が、伝 って、奴隷や外国人 女性 をさえ かれらが治的支配に関与する性能力を持たないという理由で、市民から排除していた。 しか もしも、市民であることの格がただ「決と支配に関与する能力」によって規定されるのであれば、 外国人女性たちが、やがて教育その他の知的・倫理的訓練によって充分な強的・政治的理性を身 につけた際には、市民になり、政治に参加することになんの妨げもないだろう。 アリストテレスの市民は、 の状況をしながらも、出自、富、階級、 その他の偶然的もしくは運命的な条件を化し、もっぱら によって市民を設定することにより、市民の 動化し、人間は誰でも市民になれる可能性を開い ているのである。 アリストテレスの市民が、現実の を破壊する力を秘めている 現代の政治哲学者ロールズにおいてもまた、正しい社会の構成員は自由で平等な市民でなければならない。 自由現下の題外であるから今は描くとして、では、平等とはなにを意味するのであろうか。それが、 能力 44 や社会的地位の問題ないことは自明のことである。こういう点についての 二十世紀において、おしなべて破産した、と言うべきであろう。 では、どこに人間の平等は成立するのか それは、人間がそれぞれ公共的理性を分有するという点において成立する、とロールズは言う。 公共的理性 とは、共同体成立の基本原理となる正義の概念についての認識、その正義を実現すべき正しい国家共同体) がどのような構造をもつべきかについての その認識に基づいて国家を建設し、改善し、維持するため 能力、それらの認識や能力の成立条件となる現代における倫理的ならびに に責任ある行為をなしうる 科学的な常識のすべてを言う人はみな人間であるためには、たとえ不充分ではあっても、この理性を身に つけなければならないのであり、この世の共有という点で人は平等でありうるのである。このような人間 観が、アリストテレスの市民の正当な子孫であることは、明らかであろう。 平等とは、人間のしるしで ち 8 のである。 沖縄
あるが、すでに与えられているもの はなく、戦争、虐殺、搾取という血まみれの歴史による教 よる陶冶、実践理性の育成を通して、人間が命がけで創りあげてゆかねばならな い も の な の で ある。 (岩 田靖夫 「市 の概 念と人 訓、教育に 間の平等」) 民

回答

✨ ベストアンサー ✨

「平等とは、能力、容姿、富、社会的地位の問題ではなく、またこれらを平等にすることが20世紀に試みられたが、それらは全て失敗した」という内容が、写真のハイライト部分です。選択肢の「人間における付加的価値」は、おそらくここでいう「能力、容姿、富、社会的地位」だと思われます。これらを平等にする=付加的価値の差の解消は無理だったと本文は言っているので、本文と一致しなくなります。
それにしても、民主主義について考えさせられる文章ですね。

anbe

確かに、私も読んでて考えさせられました。
理解出来ました!ありがとうございました!

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