✨ ベストアンサー ✨
1枚目の図は『新 百万人の天気教室』という本からの引用です。ここから先は、以下の現象が北半球であり日本付近であるという前提で解説します。
始めのうちは暖気が南側(沖縄方面)、寒気が北側(北海道方面)にあり、両者の勢力が均衡(同じくらい)している状態です。これが停滞前線の状態です(図の(a)の状態)。しかし、温度の差は気圧の差を生み、気圧の差は風速の差となって波として現れ、地上ではちょうど前線の折れ曲がった所(キンクと呼びます)を中心とした反時計回りの渦ができます。連動して、上空(約5500m付近〜約9600m付近)の偏西風の南北の蛇行が大きくなり、偏西風がU字に凹んだ所に「気圧の谷」ができるのです。この一連の流れが図の(b)に当たり、温帯低気圧というわけです。
2枚目の図は『一般気象学』からの引用ですが、この図の「気圧の谷の軸」に注目してください。気圧の谷の西側(左側)で寒気が下降し、東側(右側)では暖気が上昇しているのが示されています。寒冷前線や温暖前線ができる時は、この様に偏西風が波動を起こし、上空で気圧の谷が形成されてからです。これにより、低気圧の西側では寒気が北側から南側(北海道方面から沖縄方面)に大きく入り、寒気と暖気の境界線としての寒冷前線が形成されます。東側では暖気を南側から北側(沖縄方面から北海道方面)へ輸送する流れができて、暖気の進行方向前面に温暖前線ができるのです。その様子は3枚目の画像(同じく『一般気象学』より引用)の通りです。
温帯低気圧を生み出す地球の活動は、日本を含む中緯度帯の温度調整に必要不可欠なものです。春や秋はこの活動がバランス良く行われることで体感的に過ごしやすい気候を作っているのです。ついでに言うと、温帯低気圧は理論上、水蒸気がなくてもできます。南北の温度差があれば必然的に生じるものなのです。
