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他者を認めること、それが「自分」を確立する。 認めるというのは、 存在を認め、立場を認め、意見を聞き、人格を尊重し、必要であれば、守 り、敬うということである。自分が好きな人、自分の意見を支持してく れる人だったら、それは簡単である。自分の利益になる他者は、誰だって 自然に大切にするだろう。しかし、それだけではない。自分と意見が違う 人に対しても、できるかぎり尊重しなければならない。これができること が「理性」というものだ。ただし、この「尊重」とは、その意見に従え、という意味ではもちろんない。
第2段落

人間はバラエティに富んでいる。いろいろな考えの人がいるから、これ だけ面白い社会になったのだ。みんなが同じように考え、同じ価値観を 持っていたら、どれだけ薄っぺらい世の中になっていただろう。そもそも、 それでは人類はここまで発展できなかったはずである。 そして、長い歴史 を通して、ようやく自由社会を築き上げ、人権を確立しつつある。その最 も基本的な考え方とは、「君と僕の意見は違う。しかし、僕は君を認める」 という精神なのだ。意見が異なることは、お互いの存在を否定することで はない。相手を嫌う理由にさえならない。意見が違うことを認識し、どう すれば良いかを考えることに価値がある。そういう社会を人間は作ろうと している。まだまだ理想には遠いかもしれないが、まずは、それをルール として決めたことは素晴らしい。意見が違うと、相手の人格まで否定 し、貶し合いをするような場面が今でもまだ多い。これは間違っている。 それでは前進はしない。相手の意見を否定しても、相手の人格は絶対に尊重しなければならない。
第3段落
「他者」がどんな考えを持っていても、「他者」を尊重する、それによって自分が確かなものになる、ということがなかなか実感できないか もしれない。人は、自分と違う意見の他者がいると、なんとか説得しよう とする。 自分の意見の正当性を主張し、相手の主張の間違いを指摘する。 こうした議論は大切である。 議論をしなければ、そもそも相手の考えはわ からないし、理解し合えない。しかし、いくら自分の方が正しいと考えて いても、相手が納得しない場合がある。 これは感情的な判断が混在した結 果かもしれないし、言葉の定義が違うある種の誤解かもしれないし、相手 が頑なに思考を停止して理解を拒んでいる状況かもしれない。そのいずれ であっても、相手の間違った(と思われる) 意見に対して、やはり尊重し なければならない。 「どうしても君がそう考えるならば、しかたがないね」 と握手することである。その人が、そういう意見を持っている、と理解す る以外にない。それ以上に、相手に影響を及ぼすことはできない。そして、 こういう経験を重ねるうちに、「自分」に対しても、「そうか、僕はどうし てもそう考えてしまうんだな、まあ、しかたがないか」と認めることができるようになる。まったく同じプロセスなのだ。

第4段落

意見というのは、基本的に「理論」である。それはそれを発言した人間 からは切り離して捉えなければならない。誰が言っても、正しいことは正 しい、間違っていることは間違っている、という判断をするべきだ。こう いう立場を取っていれば、自然に、考えが違う相手であっても、人間とし て親しくつき合うことができるようになるだろう。
第5段落

翻って、自分が発言する意見や、自分が行う思考も、実は自分から切り 離すことができる。それが自由な意見であり、自由な思考というものだ。 たとえば、なにかについて「こうあるべきだ」ということを発言しようと 思ったとき、自分が今はまだそうなっていなくても、発言はできるし、考 えることもできる。 だから、そういう発言に対して、「きみはどうなんだよ?」「きみに言われたくないな」という反論はするべきではない、と 僕は思う。本人は駄目でも意見は立派だ、ということはある。耳を傾け ても損はない。ただ、これは実際には難しいことだ。いい加減な人間が 偉そうな口をきいたときにも、「それはそのとおりだね」と素直に返し たい。 「君にそんなことを言う資格はない」なんて言わないが良い。 発言は自由なのである。 わかってはいるけれど、これができるのは、よ ほど「自分」が確かな人だろう。揺らがない自分がなければ、この余裕 は生まれない。もちろん、僕もいつかそうなりたいものだ、と思って書いている。

第6段落

結局のところ、どんな場合にあっても、コンテンツを素直に評価する ことが一番大切である。情報というのは、コンテンツだけでは伝わって こない、なんらかのメディアが必ず伴う。誰の口から発した言葉なのか、 その人間の過去はどうだったのか、などあれやこれやと余分な情報が付 随し、渾然一体となって伝達される。そこから、その本質だけを抽出し なければならない。人間は、自分ができないことでも、それを考えるこ とはできる。経験したことがないものでも想像することができる。 理論 というのは、必ずしも実験を伴わない。自由な発想というのは、なにも ないところに生まれる。それを逃してはいけない。常に、情報の真意を捉えることが大事だと思う。

筆者は、他者の意見を聞くときに何が大切であると述べているか。「情報」という語を使って六十五字以内で書きなさい。

この問題の解説お願いします。
模範解答は

他者の人格を尊重したうえで、その人の発言に含まれる情報の本質的な内容を抽出し、その人とは切り離して、意見そのものを評価すること。

長々しくてすいません💦

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