回答

たしかにハロゲン自体は酸化剤(自身は還元される)ですし、水中でハロゲン化物イオンに電離して安定に存在できます。
しかし、電気分解のときは強制的に電気を流しているので、陽極にてハロゲン化物イオンは電子を奪い取られ、二原子分子になります。

電気分解では、陽極において、最も酸化されやすいものが酸化されます。何かしらの物質が必ず無理矢理でも酸化されます。

以下に電気分解の陽極での反応について書きます。
(長くてすみません。)

まず、白金や炭素棒"以外"の金属を、陽極の電極に用いて電気分解をした場合、陽極にした金属自身が酸化されやすい(多くの金属は一般に陽性が強く、陽イオンになりやすい)ので、優先的に酸化され、電極の金属は陽イオンとなって溶け出します。
(Ag → Ag⁺ + e⁻ など)

白金(イオン化傾向がとても小さい金属)や炭素棒は非常に酸化されにくいので、陽極に用いても電極自体はほとんど酸化されません。

ここでは電極が白金か炭素棒という場合を考えていますから、電極はなかなか酸化されません。代わりに水溶液中のなにかが酸化されます。

ここで、SO₄²⁻やNO₃⁻が水溶液中に存在していたとしても、SやNが最高酸化数であるので、陽極でそれ以上酸化されることはありません。
電子を奪われてSO₄になったりしません。

一方、水溶液中にハロゲン化物イオンが存在すれば、彼らからは比較的簡単に電子を奪うことができます。
電子を奪われても、Cl₂やI₂という二原子分子で存在することも容易にできますからね。
(2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻ など)

水溶液中にCl⁻もI⁻も含まれない場合、次に電子を奪いやすい相手はOH⁻です。塩基性の水溶液の場合にOH⁻を含むので、OH⁻が酸化され、酸素が発生します。
(4OH⁻ → 2H₂O + O₂ + 4e⁻)

さて、Cl⁻もI⁻もなく、塩基性水溶液でもないなら、最終的に仕方なくH₂Oが酸化され、酸素が発生します。
(2H₂O → O₂ + 4H⁺ + 4e⁻)

酸化されやすさをまとめると、

SO₄²⁻,NO₃⁻ < Pt,C < H₂O < OH⁻ < Cl⁻,I⁻ < その他金属

という感じです。

もう少しこの手順を簡略化して示します。
陽極で酸化される物質を考えるときの順番は、

①電極にCuやAgなど、Pt,C以外の金属が用いられているか
②水溶液中にCl⁻やI⁻などのハロゲン化物イオンが存在するか
③水溶液が塩基性か(OH⁻が存在するか)
④上記に当てはまらないならH₂Oが酸化される

というステップで考えるといいと思います。

電気分解 陽極 酸化 ハロゲン化物イオン
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