仕事w=fxから旅は始まる。
力fは氷が鉄管壁を押す力[N]だ。
距離xは氷が押して膨張した長さ[m]だ。
ただし、問題ではこれらが直接与えられているわけではない。どうやら少し回り道をしなければならないようである。
まずは力から行こう。
鉄管壁の圧力が1070atm=1070×1.013×10⁵[Pa]なので、今、鉄管壁の面積をS[m²]とおくと、鉄管壁が氷に及ぼす力Fは
F=1070×1.013×10⁵[Pa]×S[m²]
=1070×1.013×10⁵×S[N]
氷が鉄管壁を押す力fもこれと同じだけ必要なので
f=1070×1.013×10⁵×S[N]
となる。
次は距離xである。これは膨張した長さなので体積の変化から考える。
水と氷の密度と質量からそれぞれの体積が求められる。
Vwater=100[g]/1.00[g/cm³]=100[cm³]
Vice=100[g]/0.92[g/cm³]=108.7[cm³]
したがって体積変化は
ΔV=Vice-Vwater=108.7-100=8.7[cm³]
=8.7×10⁻⁶[m³](←cm=10⁻²m)
となるので、鉄管壁の面積Sを押した距離xは(Sx=ΔVより)
x=8.7×10⁻⁶/S[m]
である。
よって
w=fx
=1070×1.013×10⁵×S[N]×8.7×10⁻⁶/S[m]
=9.4×10²[J]
=0.94[kJ]
※面積Sが相殺されることを見抜けるのであればわざわざSを挟まずに直接w=pΔVで計算してもよい。