発展例題44 ペプチドの構造決定
問題 537
グリシンH−CH (NH2) COOH (Gly), チロシンHO-C6H4-CH2-CH (NH2) COOH (Tyr),
リシンH2N- (CH2) 4-CH (NH2) COOH (Lys) からなるトリペプチドAがある。 リシンの
カルボキシ基が形成したペプチド結合のみを加水分解する酵素を用いて, トリペプチド
Aを分解したところ, ジペプチドBとアミノ酸Cが得られた。 Bはキサントプロテイン
反応を示した。 また, アミノ酸Cは鏡像異性体をもたなかった。 トリペプチドA中のグ
リシン、チロシン、リシンの結合順序を決定し、 Aの構造をH2N-Gly-Tyr-Lys-
COOHのように表せ。
考え方
ペプチド結合が加水
分解されると,次の
ようになる。
-C-N-
H
↓加水分解
-OH + H2N -
解答
11 2
トリペプチドA を H2N-X-Y-Z - COOH と表す。
リシンのカルボキシ基が形成したペプチド結合が分解されることから,
リシンはXまたはYの位置にある。 リシンがXの位置であれば、①の
箇所で加水分解されるので, 生じるアミノ酸Cはリシンとなり,Cが
鏡像異性体をもたないことに矛盾する。 このことから, リシンはYの
位置にあり,②の箇所が加水分解され, 生じるZ(アミノ酸C)がグリ
シンとわかる。 したがって, Xがチロシンとわかり, ジペプチドBが
キサントプロテイン反応を示す事実と一致する。 Aの構造は次のよう
になる。 H2N-Tyr-Lys-Gly-COOH