✨ 最佳解答 ✨
長い説明になりますが、お付き合いください。
●名目・実質に関する前提知識(わかっていればとばしてOK)
名目経済成長率というか、名目GDPは「1年間にその国でどれだけの価値が生産されたか」を示すものです。ここで言う「価値」というのは、(厳密には違いますが)商品と言い換えるとわかりやすいかもしれません。
で、この価値を示す尺度として使われるのが円とかドルとか、貨幣と呼ばれるものなので、「今年のGDPは〇〇兆円でした」みたいにニュースになるわけですが、問題なのはこの貨幣の価値が毎年変動することです。例えばインフレになれば貨幣の価値は下落しますし、デフレになれば貨幣の価値は上昇します。
仮に10%のインフレが発生して物価が上がったとしましょう。去年まで100円で買えたものが110円になってしまいました。このとき、名目GDPで考えると10円の経済成長・10%の経済成長が達成されたことになるのですが、実際に10円分の価値が新たに生産されたわけではありません。単にその商品の価格が上がった(貨幣の価値が下がった=インフレになった)だけです。
こういうことが起こるので、名目GDPは経済の実態を適切に表すことができるとは限りません。そこで、名目GDPから物価上昇率の影響を取り除き、より実態に近い数値にしたものが実質GDPです。
インフレになれば名目GDPや成長率には物価上昇分が可算されますが、実質GDPや成長率では名目値から物価上昇分が除かれるので、「名目GDP・成長率≧実質GDP・成長率」という式が成り立ちます。逆にデフレになれば名目GDPや成長率が物価下落によって押し下げられますが、実質GDPや成長率は物価下落分を除いた数値になり、「名目GDP・成長率≦実質GDP・成長率」という式になります。ここまでが前提知識です。
●解説の解説
この問題が想定している状況は、名目経済成長率を物価上昇率が上回る状況です。解説の内容に沿って説明しますね。
例えば、ある国の昨年の名目GDPと実質GDPが共に100兆円だった場合を考えます。今年は名目経済成長率が20%を記録し、名目GDPは120兆円まで伸びました。しかし、同時に昨年から今年までに、物価上昇率は名目経済成長率を上回る25%を記録し、GDPデフレーターは125という値になりました。名目経済成長率(20%)を物価上昇率(25%)が上回ったわけです。
今年のGDPデフレーターから実質GDPを算出すると96兆円となり(計算式:(名目GDP(120兆円)/GDPデフレーター(125))×100))、実質経済成長率は-4%となってしまいました。
このように、名目経済成長率を物価上昇率が上回った場合、実質経済成長率は必ずマイナスになります。
名目・実質のしくみがそもそもわかっていなかったので、そこもしっかり説明していただけてとてもありがたいです!!長く詳しく説明してくださり、わかりやすいです!解説の解説までしていただき、理解できました!!丁寧な説明ありがとうございました!