ボールペンを製造している会社が、 既に販売しているボールペン A
を改良して新製品B を開発した。 BがAよりも書きやすいと消費者に
10 評価されるかを調査したいと考えたが, すべての消費者を調査するのは
不可能である。 そこで, 無作為に選んだ30人にこれらのボールペンを
使ってもらい, A,Bのどちらが書きやすいと感じるかを回答しても
らった。 回答の結果を集計したところ, 70% にあたる21人がBと回
答した。 この回答のデータから,
[1] Bの方が書きやすいと評価される
と判断できるだろうか。
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この問題を解決するために, [1] の主張に反する次の仮定を立てよう。
[2] A, B のどちらの回答も全くの偶然で起こる
すなわち,A,Bのどちらの回答の起こる確率も 1/2 = 0.5である,とい
う仮定を立てる。 その仮定のもとで, 30人中21人以上がBと回答する
確率がどれくらいかを考察しよう。
[2] の仮定は,公正な1枚のコインを投げる実験にあてはめることが
できる。 ここでは, コインの表が出る場合を, B と回答する場合とする。
そして, コイン投げを30回行うことを1セットとし, 1セットで表
25 の出た回数を記録していく。
20
この実験を200セット繰り返したところ、 次の表のような結果となった。
表の回数 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 計
度数 2 3 3 12 16 22 22 31 31 22 14 12 6 2 1 1 200
Link【補足】 この実験の代わりに,コンピュータでシミュレーションを行ってもよい。
考察
5
上の表から 21 回以上表が出たのは, 200セットのうち2+1+1=4
セットであり, 相対度数は =0.02 である。
200