エステル結合について、
エステル化を習ったと思います。
R-COOHとR'-OH(一般にカルボン酸とアルコール)について、
前者からOH、後者からHが取れて(全体としてH₂Oが取れて)結合し、R-COO-R'となる反応でしたね。
ちなみに-COO-がエステル結合で、この構造を持つものがエステルです。
この問題ではこの操作を逆に行なっています。
具体的には
H₂Oを加えてエステル結合を切る反応です。
であれば、普通に考えればカルボン酸とアルコールの二種類の化合物が切った結果として出てくるのではないでしょうか?
しかしこの問題では生成物が1個しか出てきていません。
この矛盾を解決する構造が環状構造なのです。
考えてみてください。
HOOC-R-OHという1つの物質があったとしましょう。
この左端と右端をくっつけるように曲げてみて下さい。そして、脱水縮合してみて下さい。
これで
-COO-R-の環状構造ができました。
これも立派なエステルです。
これを加水分解してもカルボン酸とアルコールの2つは出てきません。HOOC-R-OHが出てくるだけです。
このような考えで環状だと言っているのだと思います。