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しま
としよりずいなう
浦島の子
俊頼髄脳
水の江の浦島の子が箱なれやはかなくあけてくやしかるらむ
EKOD:
が
これは、水の江の浦島の子といへる人の、ありけるなり。 水の江の浦島とは、所の名なり。大きなる亀を
釣りいでて、置きたりけるに、浦島の子が寝たりけるに、女になりて居りけるを見て、妻にしてありけるに、
を
は
b
女、「いざたまへ、我がすむ所へ」と誘ひければ、釣りしける船に乗りて、えも知らぬ所に行きて、すみけ
れば、まことに楽しく、思ふこともなかりけり。 しかはあれど古きみやこの恋しかりければ、「我がある所
へ帰しやりたまへ。あからさまに行きて、また帰り参らむ」とあながちにいひければ、「しか。 さおぼさば、
「はや帰りたまへ」とて帰しける時に、小さき箱を、ゆひ封じて取らすとて、「この箱を、 かたみに見たまへ。
あなかしこ、開けたまふな」とかへすがへすいひ語らひて、取らせつ。その箱を取りて、船に乗りて、帰り
ぬ。もとの所へ帰り着きけるままに、いつしかとゆかしかりければ、みそかにと思ひて、何の入りたるぞと
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IJ
けぶり
思ひて、おづおづ、細目に開けて見れば煙いでて、空にのぼりぬ。その後、老いかがまりて、ものもおぼえ
P
ずなりぬ。はや、この人のよはひをこめたりけるなり。 開けけることくやしと思へど、かひなし。 それが心
HERCES
を得て、詠めるなり。
しかはあれど・・・そうではあるけれど。 *古きみやこ…ここでは
*あなかしこ・・・下に禁止の語を伴って、「決して」の意。
「かつて住んでいた所」の意。
*はや…実は。
*かたみ...相手を思い出す記念
されている言葉を入れよ
1
TESLENME
a.
BASED O
9+
【和歌】 「水の江の!」
【説話】
浦島の子といへる人ありけり
・大きなる [
女になりて居りけり
女「いざたまへ」と誘ひけり
[浦島の子 まことに楽しけれど、
古きみやこの恋しかりけり
女 小さき箱を取らす
▼〈浦島の子、箱を開ける〉
[浦島の子 老いかがまりて、もの
もおぼえずなりぬ
開けけること[
と思へど、かひなし
【結論】それが [
を得て、詠めるなり
古典常識 歌論
和歌の評論を歌論 (書)という。
内容は和歌の理念や分類、鑑賞、
詠む際の心得など。 「俊頼髄脳』
のように、和歌や歌人にまつわる
説話を紹介しているものもある。
かものち
問 「方丈記』の作者、鴨長明が
記した歌論を選べ。 <1点>
じっきんしょう
むみょうしょう
ア十訓抄 イ無名抄
しゃせきしゅう
ほっしんしゅう
ウ沙石集 エ発心集
]
[