|中納言参りたまひて
あお へ
奉らせたまふに、「隆家こそいみじき骨は得て
たかいへ
N
1中納言 囚ここでは、藤 原 隆家(九七九ー
10回四)のこと。関白道隆の子で、中宮定
子の弟。長徳元年(九九五) 権中納言とな
る。→%ページ「大鏡」関係系図
2骨 扇の骨。
中納言参りたまひて、御一
みちたか
はべれ。それを張らせて参らせむとするに、おぼろけの紙はえ張るまじけれ
1J2
ば、求めはべるなり。」と申したまふ。「いかやうにかある。」と問ひきこえ
へ
させたまへば、「すべていみじうはべり。『さらにまだ見ぬ骨のさまなり。』
「それを張らせて参らせむとする」とは、
誰が何をどのようにすることか。
JJ
となむ人々申す。まことにかばかりのは見えざりつ。」と、言高くのたまへ
LG
3くらげのななりくらげの骨というわは
ですね。禰「ななり」は、「なるなり」E
搬音便「なんなり」の、「ん」が表記
れない形。
4隆家が言 隆家(私)の言った言葉。
ば、「さては、扇のにはあらで、くらげの、
と聞こゆれば、「これは
リJ
隆家が言にしてむ。」とて、笑ひたまふ。
かやうのことこそは、かたはらいたきことのうちに入れつべけれど、「一
つな落としそ。」と言へば、いかがはせむ。
(第九八段)
関連
C藤原道隆→W
学習のポイント
本文中の会話は、それぞれ誰の言葉か、確認してみよう。
この話のおもしろさはどこにあるか、話し合ってみよう。
D重要古語
奉らす参らす
かたはらいたしな(…そ)
… J会
りこス ト