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2020年度 生物薬剤学本試験問題
試験日 6月23日
試験時間 60分
学籍番号
氏名
以下の問題を読んで、 問いに対する解答を解答用紙に記入せよ。 * 解答に単位を付けること
問題1:催眠・鎮静・抗けいれん効果が知られているフェノバルビタールは弱酸性薬物であ
り、そのpKa は 7.3 分子量は232 である。 pH 6.3 の緩衝液を用いて、薬物の飽和溶液を
作製し、濃度を測定すると、2.0mg/mLであった。 また、みかけの分配係数(クロロホルム
/緩衝液)を測定すると、 3.0 となった。 以下の問いに答えよ。 ただし、 分子形とイオン形
の割合は Henderson Hasselbalch の式に従い、容器等にこの薬物は吸着しないものとする。
1. この緩衝液中での、薬物の① 分子形分率および ② イオン形分率をそれぞれ求めよ。
2.この緩衝液中での、薬物の① 分子形濃度および ② イオン形濃度をそれぞれ求めよ。
3. この緩衝液とクロロホルムを同量混合し、平衡に達した後の緩衝液中薬物濃度を求めよ。
4. 真の分配係数 (クロロホルム/緩衝液)を計算せよ。
5. 緩衝液を pH7.3にした場合、 pH6.3 と比べ、見かけの分配係数はどちらが大きいと考え
られるか。 ①緩衝液のpHを解答欄に書け。 また pH7.3 の時の②見かけの分配係数を
求めよ。
6. 緩衝液をpH7.3 にした時の真の分配係数は、 pH6.3 の時と比べて何倍になるか。
7. この薬物 400mg を静脈内投与した後、 血漿中濃度を測定すると 10 μg/mL だった。
分布容積(L) を求めよ。
8. 分布容積の結果から、この薬物は体液中どこまで分布していると考えられるか。 以下か
ら選び記号で答えよ。 (A: 血漿内にとどまる B: 細胞外液まで C: 全体液中)
9. この薬物は複数の薬物と相互作用を引き起こすことが知られている。 この相互作用が
起こる原因として、この薬物によって①どのような代謝酵素が②誘導または阻害するか
らなのか答えよ。
10. この薬物の体内からの消失速度を求めたところ、血漿中濃度が 10μg/mL のとき、
2.4 mg/h であった。 全身クリアランス (mL/h)を求めよ。 ただし、この薬物の消失は
1次速度に従うものとする。
11. この薬物の尿中排泄を考えたとき、 尿のpHがアルカリ性になると、 排泄速度は
A : 増加するか、 B: 減少するか、 C: 変化しないか、 どれか。 理由とともに示せ。
12. この薬物が過量投与され、 血中濃度が 50 μg/mL を越えた場合、 中毒症状・昏睡を
起こす可能性がある。 このような時、 この薬物の尿中排泄を促進するために投与すべき
薬物名 (化学式も可)を1つ示せ。
(ヒント:尿のpHを変化させる物質は?)
13. この薬物には、 プロドラッグが存在する。 そのプロドラッグの名称を以下から選び、
記号で答えよ。
(A : アミトリプチリン B: プリミドン C: ジアゼパム D: フェナセチン)