「けり」は過去を表す(和歌では詠嘆を表すことが多い)助動詞です。
思ひけりのように連用形のあとにきます。(「思ひ」は四段活用の動詞「思ふ」の連用形)
そして、「けり」は助動詞なので、現代語と同様に活用します。
活用の仕方は
未然形 (けら) =(けりの未然形はあまり使われない)
連用形 ○ =(けりの連用形はない)
終止形 けり
連体形 ける
已然形 けれ
命令形 ○ =(けりの命令形はない)
です。
ちなみに、現代語の仮定のところは、古文では已然形になっていて、已然形とは已(すで)に然(しか)る形のことを言い、すでに事実である状態を示す形です。
ちなみに、似たような意味を表す助動詞「き」との違いは、体験したかしてないか、と、詠嘆の意味をもつか否かです。
「き」は主に自分が体験した過去をさし、詠嘆の意味はありません。
活用は、
未然形 せ
連用形 ○
終止形 き
連体形 し
已然形 しか
命令形 ○
です。
例文
「けり」
今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。〔竹取物語・かぐや姫の生ひ立ち より〕
(今となっては昔のことだが、竹取の翁という者がいたそうだ=過去)
※「あり」はラ行変格活用の動詞「あり」の終止形です。←けっこう大事
田子の浦ゆ うち出でてみれば ま白にそ
富士の高嶺に 雪は降りける 〔万葉集 巻三 より〕
(田子の浦を通って(眺望のきく所へ)出てみると、真っ白に富士の高嶺に雪が降り積もっていることよ=詠嘆)
※「降り」はラ行四段活用の動詞「降る」の終止形です。
「き」
やうやう夜も明けゆくに見れば率て来し女もなし。〔伊勢物語・芥川 より〕(ようやく夜が明けたので、見ると連れて来た(=過去)女がいない。)
※ 「来」はカ行変格活用(カ変は「来」しかない)の動詞「来」の連用形←けっこう大事
なるほど!分かりやすい説明ありがとうございます😊例文まで出していただき分かりやすかったです!