まず基本的なこととして
(とは言っても英語が得意な人でないと理解が追いつかないかもしれないんですが)
①命令文は条件節の代用となる
これは今回の文に関係なく、
命令文 and〜 「〜しなさい、そうすれば」
命令文 or〜 「〜しなさい、そうしなければ」
などの形を考えればわかると思います。
独立した命令文のみでピリオド。
次の文がwillやmayなどの認識の表現。
という場合もありますね。
②譲歩は、条件節のバリエーションの一つ
If節(条件節)+主節(帰結節)という文を
想定してください。
条件節と帰結節 のつながりを考えたときに、
因果関係が矛盾するような場合が「譲歩」です。
例えば
条件節「春になる」帰結節「桜が咲く」
「春になれば、桜が咲く」→普通の条件と帰結の表現
条件節「春になる」帰結節「雪が降る」
「春になっても、雪が降る」→譲歩の表現
「因果関係の矛盾」という点では、譲歩は逆接とも共通しています。なので
「春になるけど、雪が降る」という訳も譲歩の表現として間違いではありません。
Try.as he mayも命令文ですから、これが条件節になります。そして、帰結節と因果関係として矛盾していれば譲歩として訳すのです。
asの解釈は
http://place-inc.net/details/and/images/Ch05.pdf
↑が参考になります
Try as he may の後ろにはtryが省略されていると考えて、asは様態「〜するように」のasです。
それを踏まえて
Try as he may (try) を丁寧に訳してみます。
まず、
mayは話し手の推量で、tryには「試す」以外にも「一生懸命やる」の意味があります。
he may try は、彼が一生懸命やると話し手が思っている
という意味です。
そうすると
Try as he may tryは
「彼は一生懸命やるだろう」と話し手が思っていて
実際そのように、そのとおりに一生懸命彼がやる
という意味です。
条件節Try as he may
帰結節「うまくいかない」
という組み合わせだと、因果関係が矛盾するので譲歩で訳して
彼は一生懸命やるだろうし、実際そのように一生懸命彼がやったとしても
うまくいかない
という文になります。
一つ訂正で willだったら「やるだろう」ですが、mayだから「やるかもしれない(し、やらない可能性もある)」ってことですね。
彼が一生懸命やるかもしれない(し、やらないかもしれないけど)と話し手が考えていて、実際そのように彼がやったとしても
がTry as he may ですね。
一応補足ですが、
条件と帰結が矛盾すれば譲歩で訳す と説明しましたが
今回のような、命令文 as 〜の表現は、譲歩で訳せる文脈でしか使わないです。
asはいろんな訳し方がありますが、根本的な意味は「同時性」です。
譲歩のasは「矛盾する2つの事柄が同時に起こっている」ということを表しているわけです。
ですが、
条件節と帰結節が矛盾しない文脈だとasは、「もし〜なら…」という訳し方は基本的にはしません。
つまり
条件を表すような表現形式にasを使うことができるのは、「譲歩」を表現したいときだけだということになります。