生物
高校生
解決済み

2年に教わる生殖と発生での質問です。
X染色体にはY染色体に比べて多くの遺伝子座が存在していますよね
女性はそのX染色体が2本あるのに対して男性は1本しかないということは、男性は女性に比べて色の識別とか血液凝固といった機能が弱かったりするのでしょうか?
それとも1本だろうと2本だろうと機能に差はないのですか?

生殖と発生 性染色体

回答

✨ ベストアンサー ✨

結論から言うと男女で機能に差はありません。

まず、女性はXX,男性はXYでX染色体の方が遺伝子が多いところまではその通りです。

しかし、生物では性染色体を同じものをホモで2本持つ側の性(ヒトだと女性)で、2本ある染色体のどちらか一方を選択し、もう一方を使用しないというシステムがあります。これを「ライオニゼーション」といい、使われなくなった方の染色体を「バー小体」といいます。

これが目に見えてわかる現象が三毛猫です。三毛猫の体色を決める遺伝子はX染色体上に乗っています。たとえば、父親からX(黒),母親からX(茶)の遺伝子を受け継いだ娘の猫は細胞ごとにどちらのX染色体を使うか決まるので、黒と茶色のまだら模様になります。茶色のまだら部分は母親由来のX染色体、黒色のまだら部分は父親由来のX染色体が発現しているわけです。一方で同じ両親から生まれた息子猫は、父親からY染色体を、母親からX(茶)染色体を受け継いでいるため、体色を決める遺伝子は母親からの茶色しかありません。よって茶色の猫になるわけです。三毛猫がメスしかいないのはこんな理由からというわけです。

「X染色体の不活性化」と検索すると、いくつかわかりやすいサイトがヒットすると思います。Wikipediaもあるようですね。三毛猫の問題は入試でもよく問われるので一度調べてみてください。

水縹

丁寧に説明していただきありがとうございます!
検索してみます。ありがとうございました

けー

少し追加させて下さい。

添付した図を見ながら読んでいただければと思います。
X染色体に含まれている遺伝子には幾つかのタイプがあります。
1) 健康であるために、2コピーの遺伝子から作られる量が必要なタイプ
2) 1コピーの遺伝子から作られる量でも健康に生きていけるが、女性の体細胞の中では2本のX染色体から2コピー分のタンパク質が作られるタイプ。男性の体細胞には1コピーしかないので、女性に比べて半分の量のタンパク質が作られる。
3) 1コピーの遺伝子から作られる量でも生存でき、女性の体細胞の中では2本のX染色体のうち、一方は不活化されているタイプ(既に説明いただいているタイプ)。ヒトの場合、X染色体遺伝子のうち85%近くがこのタイプです。

<タイプ-1の遺伝子>
進化的に見ると、もともとY染色体とX染色体は同じ染色体でした。長い進化の間に、多くの遺伝子を失ったり、新しい遺伝子を得たりして、今のY染色体になります。そのような訳で、幾つかの遺伝子はX染色体とY染色体の両方に含まれ、男性の体細胞の中でも2コピー分のタンパク質を作ることが出来ます。ですので、タイプ-1の遺伝子は、XXでもXYでも、同じ量のタンパク質が作られます。
X染色体1本だけでY染色体も持たない場合(XO)、ターナー症候群とよばれる病気になります。Y染色体がないので女性として生まれ、低身長や卵巣の機能不全などの症状が表れます。

<タイプ-2の遺伝子>
このタイプの遺伝子は、X染色体の本数に従って、男性の体細胞では女性の半分の量のタンパク質が作られます。この量の違いが、男女間のエネルギー代謝や病気の罹りやすさやの違いに関係しているのでは?と考えられています。

<タイプ-3の遺伝子>
女性は2本のX染色体を持ちますが、そのうちの一本はほとんど不活化されて使われていません(上の2つのタイプの遺伝子以外はということです)。これは既に説明いただいたタイプの遺伝子です。

色の識別や血液凝固に関係する遺伝子が1〜3のどのタイプなのか分からないので、男性のほうがこれらの機能が弱いかどうかは、、、今説明することは出来ません。
ただ、男性はX染色体を1本しか持たないので、赤緑色覚異常の遺伝子を含むX染色体を受け継ぐと、色覚異常になってしまいます。一方、女性の場合は2本ありますので、1本が赤緑色覚異常の遺伝子を含んでいても、もう一本が正常であれば、多くの場合正常な色覚を持ちます(保因者と呼びます)。そういう意味では、男性の方がX染色体に含まれている遺伝子(X連鎖性遺伝子)の異常による病気を発症しやすいといえます。

水縹

タイプがあるんですね!保因者などすごく興味深かったです。
わざわざ図も添付してくださりありがとうございます。わかりやすかったです助かりました。

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