電気陰性度・分極・双極子モーメント・分子間力

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1208

0

tomixy

tomixy

【contents】
§1 電気陰性度(p1~5)
§2 結合の分極(p6~7)
§3 電気陰性度の差と結合様式(p8)
§4 双極子と双極子モーメント(p9~14)
§5 分子間力の分類(p15)
§6 3種のファンデルワールス力(p16)
§7 水素結合(p17)

- - - - - - - - - - - - - - - - - ✄
【更新履歴】
2020/04/21
(追加)3種のファンデルワールス力
(追加)水素結合

ノートテキスト

ページ1:

1. 電気陰性度
等核(同じ元素からなる)二原子分子
Clzの静電ポテンシャル図
異核(異なる元素からなる)二原子分子
HCl の静電ポテンシャル図
Cl
cl
H
Cl
黄or緑
・電子が上に広がっている
・電子が豊富
電子が豊富
・電子が不足している
静電ポテンシャル図は左右対称なので
静電ポテンシャル図は左右非対称なので
電子は分子の両側に均等に分布 電子が分子の片側に偏って分布
元素によって
電子を引きつける力の強さ
が異なる

ページ2:

< def. 電気陰性度>
電気陰性度・分子内で共有している電子を原子核に引き寄せる力の強さを表す数値。
希ガスはそもそも分子にならないので、電気陰性度は考えない
電気陰性度大 →共有電子を引き寄せる力が

ページ3:

1
2
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17
H
1
2.2
Li
Be
B
C
N
0 F
2
1.01
1.5
2.0 2.5
3.0 3.5 4.0
At
→F
の理由
Na
Mg
Al Si
P
S
3
0.9
1.2
1.5
1.8 2.1 2.5 30
K
Ca
Se
Ti
V
Cr
Mn
Fe
Co
Ni Cu
Zn
Ga
Ge As
4
0.8 1.0
1.3
1.5 1.6
1.6
1.5
1.8
1.8
1.8
1.9
1.6
1.6
1.8
Se Br
2.0 2.4 28
Atの周期番号(主量子数)は6,Fは2
Rb
Sr
Y
Zr
Nb
Mo Te
Ru
Rh
Pd
Ag
Cd
In Sn
Sb Te
5
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
1.9
2.2
2.2
2.2
1.9
1.7
1.7
1.8
1.9 2.1 2.5
Cs
Ba
Hf Ta W Re Os
Ir
Pt.
Au
Hg
TI
Pb
Bi
Po
At
6
0.7 0.9
1.3. 1.5 1.7 1.9 2.2 2.2
2.2
2.4
1.9
1.8. 1.8
1.9
2.0
2.2
Fr Ra
Atの最外殻はP殻、FはL殻
7
0.7 0.9
Law,電気陰性度の大小②>
同族の典型元素なら
周期番号(主量子数)が大
電気陰性度が
の方が
下の方が、最外殻が原子核から近い
Fの方が、最外殻電子を原子核が引きつける力は強い
Fの方が電気陰性度が大

ページ4:

1
(
1
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10 11 12 13
14
15 16 17
H
2.2
Li
Be
B
C
N
6
F
2
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0 20
4.0
LiF
Na
Mg
Al
Si P S
Cl
3
0.9
1.2
1.5
1.8
2.1
2.5
3.0
K
Ca
Se Ti
V
Cr
Mn
Fel
Co
Ni Cu
Zn
Ga Ge As
Se Br
4
0.8
1.0
1.3
1.5
1.6
1.6
1.5
1.8 1.8
1.8
1.9
1.6
1.6
1.8 2.0
2.4 2.8
の理由
Liの原子番号は3,Fの原子番号は9
Rb Sr
Y
Zr
Nb Mo
Te
Ru
Rh
Pd Ag
Ca
In
Sn
Sb
Te I
5
0.8 1.0
1.2
1.4 1.6 1.8
1.9
2.2
2.2
2.2 1.9
1.7
1.7
1.8.
1.9
2.1 2.5
Cs
Ba
Hf Ta W Re 0s
Ir
Pt
Au Hg
TI
Pb
Bi
Po At
6
0.7 0.9
1.3. 1.5 1.7 1.9 2.2
2.2
2.2
2.4
1.9
1.8. 1.8
1.9 2.0 2.2
Fr Ra
(Lの陽子数) < (Fの陽子数)
7
0.7 0.9
<lam. 電気陰性度の大小①>
(の原子核の正電荷)(Fの原子核の正電荷)
同周期の典型元素なら
陽子数(原子番号)が
の方が
原子核が電子を引きつける力は、Fの方が大
電気陰性度が大
電気陰性度は、Fの方が大

ページ5:

大
電気陰性度
1
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16 17
H
1
2.2
Li
Bel
B
C N °
F
2
1.0
1.5
2.0
2.5 3.0
3.5 4.0
Na
Mg
Al
Si
P
S Cl
3
0.9
1.2
1.5
1.8 2.1 2.5
3.0
K
Cal
Sc
Ti
V
Cr
Mn
Fe
Co
Ni Cu Zn
Ga
Ge As Se Br
4
0.8
1.0
1.3
1.5
1.6
1.6
1.5 1.8
1.8
1.8 1.9
1.6
1.6
1.8 2.0 2.4 2.8
Rb
Sr
Y
Zr
Nb
Mo
Tc Ru
Rh
Pd
5
0.8
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8 1.9
2.2 2.2 2.2
1.9
Ag Cd
1.7
In
1.7 1.8 1.9
Sn Sb Te I
2.1 2.5
Cs
Ba
Hf Ta
6
0.7
0.9
1.3
1.5 1.7
W Re Os
1.9 2.2
Ir Pt
2.2 2.2 2.4 1.9
Au
Hg TI Pb
1.8 1.8
Bi Po At
1.9 2.0 2.2
Fr Ra
7
0.7 0.9
電気陰性度
最も右上にあるフッ素が最大となり
その電気陰性度を基準の 4.0とする
大
H
C
B
S
周期
P
Br
Be
Si
Se
Al
1
Li
As
Mg
Fe Co Ni Cu
Ge
Ga
I
2
Na
Ti
V
Cr Mn
Zn
Sc
Mo
Ru Rh Pd Ag
Sn Sb Te
Tc
Au Cd In
Pb
3
Ca
At
K
Hb
W
Os
Ir
Pt
Zr
Hg
Bi Po
Y
Re
E
TI
4
Sr
Rb
Ta
Hf
5
Cs
Ba
6
1
2
3 4 5
678
9 10
11 12 13 14 15
16
17
族

ページ6:

82,結合の分極
H
F
電気陰性度はH<F
Fの原子核は多くの電子を引きつけるため
Hの周りに電子が残らない
余った
正電荷
の
0
O
0
①
陽子と電子は電荷を打ち消し合うが、
.
F側
電子が多すぎて
負電荷が残る
H側
・余った
負電荷
電子が足りなくて
正電荷が残る
F側はわずかな負電荷を帯びる
8+ H
F
S-
S +
H側
はわずかな正電荷を帯びる
このように電荷が偏る現象を
↑
偏りを表す矢印
こっちが
結合の分極という。
6+

ページ7:

1
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H
1
2.2
Li
Be
B
C
N
0
F
2
1.0
1.5
Na
Mg
電気陰性度一覧
2.0
2.5 3.0
3.5
4.0
Al Si P
S
Cl
3
0.9 1.2
1.5
1.8 2.1
2.5
3.0
K Ca
Sc
Ti
V Cr Mn Fe Co
Ni
Cu
Zn
Ga
Ge
As
Se
Br
4
0.8
1.0
1.3
1.5
1.6
1.6 1.5 1.8
1.8
1.8
1.9
1.6
1.6
1.8 2.0
2.4
2.8
Rb
Sr
Y
Zr
Nb
Mo
Tc
Ru
Rh
Pd
Ag
Cd
In
Sn
Sb
Te
I
10
5
0.8
1.0
1.2
1.4 1.6 1.8
1.9
2.2
2.2
2.2
1.9
1.7
1.7
1.8
1.9
2.1
2.5
Cs
Ba
Hf Ta W
Re
Os Ir
Pt
Au
Hg
Tl
Pb
Bi
Po At
6
0.7
0.9
1.3
1.5
1.7
1.9
2.2 2.2 2.2
2.4
1.9
1.8 1.8 1.9
2.0 2.2
Fr
Ra
7
7
0.7
0.9
電気陰性度
電荷の表記
8-
H-Cl
2.2
3.0
H
2.2
I
2.2
O=C=O
3.5
2.5
3.5
H-cl
H
S+
&-
S+
S-
O=C=O
分極の矢線表記
H-Cl
+
H
O=C=0
←

ページ8:

83, 電気陰性度の差と結合様式
原子の様子
電気陰性度
電子のふるまい
結合様式
電子は
大
B
差が2.0以上
電気陰性度が大きい方に
完全に奪われる
イオン結合
A
18+
A
電子は
極性
・B
差が0.3~2.0
電気陰性度が大きい方に
わずかに偏る
共有結合
A-B
+
A
共有結合性
イオン結合性
差が0.3未満
電子は
無極性
分子内に均等に存在する
共有結合
大
+
B
どちらも小さい
電子は原子核に引きつけられず
自由に動き回る
金属結合

ページ9:

84, 双極子と双極子モーメント
分極
電荷が偏る 『現象』
•
双極子 電荷が偏っている『状態』
•
正味の量…向きを考慮して足し算した量
分子の双極子モーメント 分子がもつ正味の極性を表すベクトル量
N
H
H
5+
分極の
ベクトル和
HY
8+
<def. 双極子モーメント>=
双極子モーメント(の大きさ) μ [Gm]
双極子
モーメント
当(分配されている電荷の量α[C])・(電荷間の距離r[m])
分極の矢印(化学で生まれた)
双極子モーメント(物理で生まれた)
・電子の流れを表現している
8+
8-
8+
・正電荷の多くある方向を正の向きとする
8-
もっていかれた

ページ10:

Question
陽子と電子は100pmはなれている
100pm
1.60x10-19
このとき、原子の双極子モーメントM
電子の電荷の大きさは1.60×10-C
を求めよ。
(+)←
eduwer
M=
= (1.60 × 10 19 C) • (100 pm)
.
=(1.60×10-19C)(100×10-12m)
=1.60×10-19 x 102×10-12 [C・m]
=
1.60×10-19+2-12 [C.m]
=1.60×10-29 [cm]
11
(:p=1012)

ページ11:

<def. 単位D (デバイ) >=
デバイ
1 D
3.336 × 10-30
30
C.m
Question
1.60×10-29cmは何Dか。
Answer
1D
1.60 × 10-29 C.m
=
1.60 x 10-29 C.m x
(1しても不
1D
=
1.60 × 10-29 C.mx
ID
3.336 x 10-30 C.m
1.60 × 10-29Cm
=
× 1D
3.336x10-30 Cm
1.60
10-29
=
X
× ID
-30
3.336
1.60
=
× 10-29-(-30)
an
× 1D
an-m
3.336
am
= 0.480 x 10 x 1D
1.60 +3.336 = 0.4796..
有3桁 4桁
よって、3桁に合わせて 0480
=
4.80 D
//

ページ12:

Question
chloromethane の双極子モーメントの測定値はμ=1.90D
・(chloromethane の双極子モーメント) ≒ (C-cl結合の双極子モーメント)としてよい
C-Cl結合の長さは約179pm
・陽子・電子間の距離は約1月
=
10-10m
原子の双極子モーメントはMa=4.80D
上の情報をもとに、次の問いに答えよ。
(1) )の理由を説明せよ。
(2) C-Cl間の距離は、陽子一電子間の距離の何倍か。
(3) C-Cl結合がイオン結合だと仮定したときの双極子モーメントを求めよ。(単位はD)
(4) C-Cl結合のイオン結合性(%)を求めよ。
Cdnewer
(7) chloromethane には C-Cl結合とC-H結合がある。
し
(2)
C.H,Cl のうち、clがずは抜けて大きい電気陰性度をもつため、
C-H結合の極性は、C-Cl結合の極性に比べるとはるかに小さい。
よって、分子全体の極性は、ほとんどC-Cl結合の極性によるものといえるので、Aがいえる。
C-Cl間の距離は、
179pm
=
179×10-12m
(:p=10-2)
=
1.79×102×10-12m
=
1.79×100m
1.79 Å
(1月=10mm)
より、179円であるから、陽子一電子間の距離1Åの1.79倍である。

ページ13:

(3)
C-Cl 結合がイオン結合であるということは、
正電荷をもつ粒子C+と負電荷をもつ粒子Cl"に分かれているということなので、
このときの電子の偏りは『陽子と電子』と同じ状態だとみなせる。
M=1.79 Ma
電子1個分の負電荷(160×10°c)
el
1.79
を帯びている
1Å
電
電荷は1.60×
10-19 C
pla
電子とClは同じ大きさの電荷を帯びているため、
C-Cl間の双極子モーメントμは、原子の双極子モーメント μaの1.79倍となり
M = 1.79ya
=
1.79×4.80D
双極子モーメントは(距離)×(電荷)
電荷が同じなら、距離の違いだけ
考えればよい
=
8.59 D
"/
(4)
C-Cl結合がイオン結合であれば、
M=8.59D
偏りが小さくなる
実際は
M=1.90D
=
電子を共有することで
電荷を打ち消している
イオン結合性とは、『どれだけ電荷が偏っているか』の度合いともいえる。
1-1
(☆)
そこで、C-Cl結合がイオン結合の場合の電荷の偏りを1とすると、
(イオン結合の場合の偏り):(実際の偏り) =
=
8.59D: 1.90D
1とする
(実際の偏り)
=
8.59D: 1.90D
8.59D.(実際の偏り)=
1.90 D.1
(比例式の性質)
1,900
(実際の偏り)
8.597
0.22

ページ14:

C-Cl結合がイオン結合の場合の電荷の偏りを1とすると、実際の電荷の偏りは0.22である。
すなわち、実際の電荷の偏りは、イオン結合だとした場合の22%なので、
(☆)より、
実際のC-Cl結合のイオン結合性は22%

ページ15:

cccccccc
85,分子間力の分類
分子間力... 粒子と粒子の間にはたらく引力(※『粒子』は、分子とは限らない)
分子間力
(ロンドン)分散力
...
あらゆる粒子間
ファンデルワールス力
配向カ
極性のある粒子間
誘起力
極性のある粒子と他の粒子間
水素結合
・電気陰性度に差のある粒子間

ページ16:

ccccccccc C C C
86,3種のファンデルワールス力
分散力誘双極子誘起双極子相互作用)
配向力
(双極子 双極子相互作用)
誘起力(ネス双極子 誘起双極子(相互作用)
極性分子がつねにもつ
瞬間的な
電荷の偏り
電荷の偏り
e e
0
電気陰性度は
○
②
電気陰性度は
○
00
A<B
c<D
8-A
B8+
②
○
電子の居場所は
8+ A
B
8+0
Do
電気陰性度は
つねに変化
②は8+に近づきたい
A>B
○○
電子が
片側に偏って
存在する瞬間
8+と8-1は引きつけあう
A
B8+
②は
8+のある側
に偏る
もある
5+と8は引きつけあう
8-18+
このときはたらいている
このときはたらいている
引力が
分散力
引力が
配向力
S+とは引きつけあう
このとき
はたらいている
引力が
誘起力

ページ17:

87,水素結合
水素結合... 6+に帯電した水素原子とその木茶原子に直接結合していない電気陰性度の大きい原子との結合。
その水素原子に直接結合していない電気陰性度が最大に近い原子の非共有電子対との結合
配向力と共有結合の中間の強さ、性質をもつ。
水素結合-
6+
6+
H-O
18+
8+
6-
8+
8-
8-
F
8-
H
6+H
8+
18+
6+
H.
`F
水素結合

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