まず、仕事の説明をします。仕事というのは、力×距離によって求められる値[単位J(ジュール)]をいいます。しかし、これには注意点があって、力が加えられる方向と同じ向きの距離を考えなくてはいけません。どういうことかというと、たとえば、この問題であれば、5m分斜面を引いていて、重力が10Nだから、50Jとしてしまうといけないということです。重力は下向き、斜面は斜め右上向きなので、全然向きが違います。当たり前だろと思うかもしれませんが、やりがちです。また、方向と向きは違うもの(方向に正負の概念が加わったものが向き、大阪→東京は東向きで東京→大阪は西向きなので向きは違うけど、方向は同じ)なので、重力10Nが下向きにかかってて、真上に3m持ち上げるときも、重力がした仕事は、持ち上げる向きにたいして、重力は10Nではなくて-10Nなわけなので、-30Jです。
これを踏まえて、次に仕事の原理の話をします。例えば、車椅子のスロープが横にある段差を考えます。この段差をジャンプして登っても、スロープを使って登っても、仕事は同じだということです。スロープを使うと確かに楽ですがその分距離が長くなるし、そのままジャンプするとジャンプするのは大変ですが、距離は短くてすみます。
この話を踏まえて解説していきます。
仕事の原理から斜面を使わず真上に3mあげる仕事をしても、斜面を使って3m持ち上げる仕事をしても、その値は同じであることを使います。
真上に3m持ち上げるときにする物体にはたらく重力の仕事は、-10N×3m=-30J
また、斜面上の物体にたいしてかかる重力の斜面に平行な分力をx[N]とすると、5m斜面右上向きにあげるときに重力の斜面に平行な分力がした仕事は-x[N]×5m=-5x[J]
仕事の原理から-5x=-30 x=6N
この斜面に平行な分力と糸が物体を引く力はつりあっているときに、静止するので、引き上げられられるギリギリに達します。(物理独特の概念として、引き上げられはじめる=引き上げられる寸前ギリギリの力という捉え方がある)よって、6Nだと思います。