実戦
基礎問
29 活動電位の測定
カエルの大腿骨, ひ腹筋 (ふくらはぎ),
座骨神経からなる神経筋標本をつくり
右図1の測定装置を使って下図2に示す
ような実験結果を得た。 ただし, オシロ
スコープによる記録は外部記録電極を用
い 図1のb点を基準にしてa点の電位
変化を示したものである。 この実験中,
単一の電気刺激(同じ大きさ, 同じ持続
時間)をA点ある
●活動電位の測定 細胞外の膜表面に2つの電極を配置して
2つの電極間の電位差を測定すると下図のようになる。
講
生物
図1
測定装置
基準 ②
大腿骨
固定する
座骨神経
①
記録電極 記録電極
b
a
A
B
興奮部
④
ひ腹筋
->
->
③
A
①
③
⑤
0
(mV)
時間 (ミリ秒)
※③は2つの電極の間隔が短いと観察
されず,②からになることもある。
Point 61 膜電位の測定には、細胞内外の電位差を測定する
オシロスコープ
重り
図2 オシロスコープによる電位変化の記録
3
4
5
方法と, 細胞外の2点間の電位差を測定する方法の2種類がある。
問1
いはB点に与えた。
A点と点間およ
びB点と点間の
距離は同じである。
問1 A点に単一の電気刺激を与えたとき, 筋肉は1回収縮・弛緩をした。
そのときオシロスコープに記録される電位変化を図2から選べ。
は2ミリ秒を示す ▲単一の電気刺激
問2 B点に単一の電気刺激を与えたとき, オシロスコープに記録される電
位変化を図2から選べ。
問3 問1 問2で記録された神経の電位変化(ア)を何というか。 また, 神経
の興奮を筋肉に伝達する部分(イ)を何というか。
問4 新しい神経筋標本を用意して, A点に単一の電気刺激を与えたところ,
筋肉は1回収縮弛緩をした。 次に, b点をアルコールで麻酔し,その部
位で神経が興奮しないようにした後, 次の実験を行った。
(1) A点に単一の電気刺激を与えたとき, 筋肉は収縮するか。
(2) A点に単一の電気刺激を与えたとき,オシロスコープに記録される電
位変化を上図2から選んで記号で答えよ。
(3) B点に単一の電気刺激を与えたとき,筋肉は収縮するか。
(4) B点に単一の電気刺激を与えたとき, オシロスコープに記録される電
位変化を上図2から選んで記号で答えよ。
解説
必修基礎問 60 (p.226) のグラフは細胞内外の電位差を測定し
ている。 それに対し本間は, 電極を両方とも細胞外に置いてい
興奮が到達する前は,細胞外はいずれも細胞内に対して正 (+)なので、2つの電
極の間に差はない。 やがて, a 点に興奮が到達すると, a点の細胞外が負となる。
問題文にあるように,ここではb点を基準にしているので, b点からみた a点の電
位がグラフに現れる。 よってa点に興奮が到達したときはグラフはマイナスとなる。
すぐにb点に興奮が到達する (外側負) が, a点は静止電位 (外側正) に戻っており
グラフはプラスとなる。
問2 B点を刺激すると先にb点に興奮が到達し、 問1とは上下逆のグラフになる。
問3(イ)ニューロンと, ニューロンや効果器との連接部をシナプスというが、
ニューロンと筋肉の連接部を特に神経筋接合部ということもある。
問4 (1) b点をアルコールで麻酔すると, b点で興奮が伝導しなくなる。
(2) a点では興奮が生じる (グラフはマイナスになる)が, b点では生じない。
(4) b点で興奮が生じない (伝導しなくなる) ため, a点もb点も静止電位のまま
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(大阪医大)
問1 問2 1
問4 (1) 収縮しない
問3 (ア)活動電位(イ)神経筋接合部
(2)
4
(3) 収縮する
(4) 5
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