四、次の古文を読んで以下の問いに答えなさい。
春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあ
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かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛び
ちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光り
て行くもをかし。雨など降るもをかし。
仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、
心憂く覚えて、ある時思ひたちて、ただ一人かちより詣で
けり。 極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰り
にけり。
さて、かたへの人にあひて、「年ごろ思ひつること、果
たしはべりぬ。 聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。
そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、なにごとかありけ
ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思びて、
山までは見ず。」とぞ言ひける。
少しのことにも、先達はあらまほしきことなり。
ひたま