(3) ヨウ素とチオ硫酸ナトリウムとの反応 チオ硫酸ナトリウムNa2S20gは,ヨウ素によっ
て酸化されて、四チオン酸ナトリウム Na2S4O となる。このときの化学反応式は,
I2 + 2Na2S2O3 → 2NaI + Na2S4O6
となるが,次の①式と②式の反応式 (電子を含む反応式) からつくることができる(この反応
は大学入試などでは,反応式が与えられることが多い)。
反応式の求め方
酸化剤・還元剤のはたらきを示す反応式 (電子を含む反応式)は,次式で表される。
I2 + 2e¯
2S2O32-
2I¯
…①
S4O2 + 2e ......②
したがって、 ①式+②式より,
I2 + 2S2O32- → 2I + SO62-
両辺に 4Na+ を加えると次式を得る。
I2 + 2Na2S2O3 → 2NaI + Na2S4O6
-
量的関係を考えるときには, 2S2O32S4062 より, 2molのNa2S2O3 について,
Sの酸化数の総和は (+2)×2×2= +8 であり, SO2のSの酸化数の総和は
-2-(-2)×6= +10 となる。よって, Na2S2O3 2mol でSの酸化数の総和が+8 → +10 と
変化しているが,1mol あたりでは「+1」の増加と考えればよいことがわかる(→p.294)。
(4)ヨウ素滴定の指示薬 ヨウ素滴定では,ヨウ素を含んだヨウ化カリウム水溶液(褐色)と
チオ硫酸ナトリウム水溶液 (無色)を反応させる。この場合,反応が完結した時点でヨウ素
がなくなるので褐色→無色となるが,その変化は目で判定しにくいので,指示薬としてデ
ンプン水溶液を用いる。
つまり、滴定によりヨウ素を含んだヨウ化カリウム水溶液の色が薄くなったところで,
デンプンの薄い水溶液を加えると, ヨウ素デンプン反応 ® により濃青色となるので,そのま
ま滴定を続け、濃青色→無色になったとき反応が完結したことになる。