ロ130 生態系のバランス(1)
ヒトデ
1種
ペインは,アメリカのマッカウ
湾の岩礁地帯に存在する動物 15
種を調べ,カイメンやイソギン
チャク類に含まれる4種を除いた
11 種の動物の間に,ヒトデを中
心として右図のような物質 エネ
ルギーの移動関係があることを明
らかにした。図中では, 各動物間
の矢印は物質·エネルギーの移動
方向を表す。矢印中に示している
左側の数字は,ヒトデまたはイボニシが食べていた餌動物の総個体数中に占める各餌
動物の個体数の割合[%] を, また右側の数字は,ヒトデまたはイボニシが餌から摂
取した総エネルギー中に占める各餌動物のエネルギーの割合 [%] をそれぞれ表して
3-41
5-5
27-37 1-2 63-12 1-3
イボニシ
1種
5/10
95-90
ヒザラガイ
2種
カサガイ
2種
フジツボ
3種
イガイ
カメノテ
1種
1種
いる。
これらの動物のうち, イガイやフジツボは他種に比べ成長速度や繁殖能力が高く。
幼体の岩礁面への定着期には, 1~2か月の間に個体数の急激な増加が観察される。
イガイやフジッボが固着した後は, 他の動物の生活が難しくなる。ペインは, 11種
の動物間の物質·エネルギーの移動関係を明らかにした後,さらに複数の区画を定め、
ヒトデだけを除去し続けた場合の影響を調べるという実験を1年以上にわたって行っ
た。その結果,ヒトデを除去し続けるとフジツボやイガイが占める面積の著しい増加
が認められ,最終的には岩礁地帯の種数が8種に減って種構成が単純化していた。