332 第9章 整数の性質
練習問題 5
n, a, b を整数とする.
(1) n+nは2の倍数であることを示せ.
(2)
2は3の倍数でないことを示せ
(3)2 +623の倍数ならば, a,bはともに3の倍数であることを示せ
精講 整数についての命題を証明するときに、剰余で分類することが有効
なときがあります。 (1)ではnを2で割った余り (つまり偶数と奇数)
に,(2)ではnを3で割った余りに注目して場合分けしてみましょう。(3)は直接
証明することが難しいので、 「対偶」 (p259 参照) に注目してみましょう.
解答
(1) N=n+nとおく nを 「2で割った余り」で分類すると
2kまたは n=2k+1
である (kは整数).
次のように書
ますか
(ア) n=2k のとき,
N=(2k)2+2k=4k2+2k=2(2k2+k)
2k2k は整数なので,Nは2の倍数である.
(イ) n=2k+1 のとき,
N=(2k+1)+(2k+1)=4k²+6k+2=2(2k²+3k+1)
2k2+3k+1 は整数なので,Nは2の倍数である.
(ア)(イ)より,すべての整数nでNは2の倍数であることが示せた.
コメント
無数にある整数に対する命題が、たった数個の場合を調べるだけで証明で
てしまえるというのが, 剰余で分類する手法の強力なところです.
(2)M=n2-2 とおく. nを 「3で割った余り」で分類すると
n=3k または n=3k+1 または n=3k+2
である(kは整数).
(ア) n=3kのとき,
より小さ
うど
M=(3k)2-2=9k²-2=3(3k-1)+1
3k2-1 は整数なので, Mは3で割って1余る数であると
(イ) n=3k+1 のとき,