しげのみだいなごん
にほんひやうぶきやう
*
滋井大納言、
三品兵部卿の宮へ参り仕へられし頃、
伏
*
すみ
しゅん なにがし
*
いふ
げんじや きこ
見の里に住ける薬師院の某とかや云僧、
"験者の聞え高く、宮
この
きどく
あが
へ召さる事有しに、此僧様々奇特を現しければ、皆人尊び崇む
あやし お
かの
まねき
る事限りなし。大納言怪み思して、彼僧を里亭へ招て
よびだ
*
和
けん
まこと
とは
僧は死したる人を呼出して見すると、人のいふなるは実かと問
5
さうらふ
れしかば、さる事の候。
さる事の候。慕ひ思す方あらんには逢せ奉らんと云。
いり
さらば我が思ふ人を見せよとあるに、彼僧一間なる所に入て、何や
じゅず
らん呪して数珠を押し揉み、とばかり有てこなたへと云。 やがて