細胞膜や細胞小器官の膜は、生体膜と呼ばれ, リン脂質とタンバク質からなる。,リ
ン脂質は二重層を形成しており, タンバク質はリン脂質二重層に埋め込まれる形で存在
している。リン脂質やタンバク質は膜上を比較的自由に移動することができると考えら
れており,このような生体膜の構造モデルを
モデルという。 3
生体膜を介して物質が移動する際には, .リン脂質二重層を透過する場合と, リン脂
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質二重層に埋め込まれた輸送タンパク質を介して移動する場合がある。 輸送タンパク質
には,特定のイオンの能動輸送を行うポンプや, イオンなどの受動輸送を行う
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, 糖などを輸送する輸送体(担体) などがある。 一方, 細胞外の物質を細胞膜
に包み込んで小胞として細胞内に取り込む
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や,細胞内の物質を含む小胞が細
胞膜と融合することで物質を細胞外に放出する。エキソサイトーシスと呼ばれるしくみ
も存在する。
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細胞膜の性質を調べるために, ヒトの赤血球を用いて次の実験 1 実験2を行った。
実験1 赤血球を蒸留水に入れると, 。赤血球は破裂し,赤血球中に含まれていたヘモ
グロビンが蒸留水中に流出した。
実験2 ヒトの体液と同じ濃度のナトリウムイオン(Na*)とカリウムイオン(K*)を含
む溶液に,実験1で得られた赤血球の細胞膜を加えたところ,細胞膜が再びつな
がって小胞を形成した。 この小胞には, 元の赤血球の細胞膜の外面がそのまま外
側を向いた小胞(小胞Pとする)と, 膜が裏返しになって元の赤血球の細胞膜の
内面が外側を向いた小胞 (小胞Qとする)の2種類がみられた。小胞Pのみを含
む溶液に ATP を添加したところ, 小胞外の溶液中の Na*濃度と K*濃度に変
化はなかったが, 小胞Qのみを含む溶液に ATP を添加した場合には, 小胞外
の溶液中の Na* 濃度は低下し, K*濃度は上昇した。