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ある遺跡から動物の骨と思われる化石が見つかった. この化石の元素分析をした結果,炭素12 と炭素
(化石の炭素14の量) 8.5
であることが分かった. この動物は何年に死んだものかを次
1013
14 の割合が
( 化石の炭素12の量)
の資料を参考に求めよ.
資料
地球上の大気や物質中には、 通常の炭素原子 「炭素 12」 とは異なる 「炭素14」とよばれる炭素原子が存在
する. 炭素 14 は, 大気圏上層において宇宙線の作用により窒素から生成される.ところが,炭素14 は不安定
な放射性原子であり, ベータ線を放出して崩壊し、再び窒素にもどる. この様に, 大気中では,生成と崩壊の
バランスがとれており、 自然界におけるこれら2種類の炭素原子の量の比は一定である. この量の比は, 大昔
(炭素14の量) 1.2
も今も変わらないと考えられ,現在の測定値は
である. ところで、 炭素 14の崩壊は,
=
(炭素12の量) 1012
5730年で半分となる割合で起こり、この5730年を炭素14の半減期とよぶ. 大気中の炭素は二酸化炭素の
形で存在し, 植物による光合成や、 その植物を食べる動物の食物連鎖によって, 動植物の体内に取り込まれて
(炭素14の量)
であると考えられる. ここで, 動植物が死滅
いく. つまり、動植物の体内においても,
1.2
(炭素12の量) 1012
すると, 生体内に取り込まれていた炭素14は崩壊して減っていくが、 食物連鎖の対象外となったため、 新た
に炭素14が供給されることはない.