(3)歴史的仮名遣い その3
歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す問題の中で一番問われ易いのが、「ア段の音+う」、「イ段の音+う」、「エ段の音+う」です。
古典がキライな中学生を塾で数多く見てきましたが、そのキッカケがここみたいです。
これが出来ないという人は、それは古文が苦手なのではなく、単に勉強をしていないだけか勉強すべき部分を画期的なレベルで間違えたか(笑)のどちらかです。
中3生でもここの知識があやふやな人がケッコーいましたが、大して難しいものではないのでしっかり覚えてください。
それでは順番に説明していきます。次の例を見て下さい。
「ア段の音+う」→「オ段+う」
『ア段』の次に「う」が来たとき、そのア段をオ段にします。
次の例を見てください。
例
かうべ → こうべ
『かうべ』の「か」は、「か―――」と伸ばしてもらえば分かるとおり、ア段の音です。
これに「う」が付いているので、「か」を「こ」にします。
「か」のオ段の音が「こ」なのは分かりますよね。
よって、『かうべ』を現代仮名遣いに直すと『こうべ』となります。
ア段の音はオ段に、ということです。
「イ段の音+う」→「イ段+ゅう」
『イ段』の次に「う」が来たとき、その間に「ゅ」をはさみます。
次の例を見てください。
例
きふ → きゅう
この『きふ』の「ふ」は「う」と同じと判断します。つまり「きふ」=「きう」です。
語頭以外の「はひふへほ」は「わいうえお」にするというのを先ほど説明しましたが覚えていますか。
それがこの例でも当てはまります。
よって、「ふ」が「う」になります。
そしてこの例での『イ段』は「き」です。
これの後に「う(ふ)」が来たときは、間に「ゅ」をはさめば現代仮名遣いに直せたことになります。
よって、『きふ』を現代仮名遣いに直すと『きゅう』となります。
実際に声に出して読んでみると分かると思いますが、「きう」も「きゅう」も発音的に似ているので、間に『ゅ』をはさむことはワリと自然に出来るとと思います。
「エ段の音+う」→「イ段+ょう」
『エ段』の次に「う」が来たとき、そのエ段をイ段にします。
そしてさらにその間に「ょ」をはさみます。
次の例を見てください。
例
てふてふ → ちょうちょう
先ほどと同じく、語頭以外の「ハ行」は「ワ行」にするので、この例の「ふ」は「う」と同じです。
つまり、「てふてふ」=「てうてう」です。
これを現代仮名遣いに直すとき、まずエ段をイ段にします。
つまり『てふ』の「て」を「ち」にします。(てう→ちう)
それができたら、さらにその間に「ょ」をはさみます。つまり、『ちょう』になります。
よって『てふてふ』は、現代仮名遣いにすると『ちょうちょう』となります。
最初のうちは、「イ段+う」と、「エ段+う」とがごっちゃになってしまいがちなので注意しましょう。
一応ゴロ合わせに、「いい湯、栄養」というのがあるので紹介しておきます。
「イ段+う」 → 「イ段+ゅう」 → イイゅ(いい湯)
「エ段+う」 → 「イ段+ょう」 → エイょう(栄養)
現代仮名遣いに直す際にポイントになる部分を赤くしています。
その赤色の部分を読むとイイゅ、エイょう(いい湯、栄養)と読めますね。
あとは何度も説明したように、語頭以外のハ行はワ行に変える点に注意すればOK。
話をまとめると、
「ア段の音+う(ふ)」→「オ段+う」
「イ段の音+う(ふ)」→「イ段+ゅう」
「エ段の音+う(ふ)」→「イ段+ょう」
ということになります。
詳しい説明ありがとうございます
明日この教科の期末なので助かりました