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すみません,ざーっと書いたら変な間違いしちゃってました。
フランク王国から引き継がれたのがノルマンディー公国のフランス語ですね。すみません,これは大きめの間違いをしてしまいました。

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一番有名な例はたぶんこれです:英語,それから現代のロマンス語派諸語。いずれも印欧語族なので屈折語に分類されますが,英語は通時的に独特の変化を遂げて来たため,孤立語的な特性を持つ言語になっています。ロマンス語派に関しては,活用は生きてますが曲用がほぼ全部死んでます。ルーマニア語で冠詞が格変化するくらいしか残ってなかったはず。
英語が一番屈折語から離れてると思います。

①現在の英語の直接の源流となる言語は,大陸ヨーロッパの北西,現在のデンマーク周辺あたりを原住地とするアングロサクソン人の言語でした。西ゲルマン語派には現在,主にドイツ語・オランダ語・フリジア語を認めることができますが,ドイツ語→オランダ語→フリジア語の順に英語に"近く"なっていくのは,アングロサクソン人がイギリスに移住する際の移動経路を考えると理解しやすいと思います。すみません,これは余談です。
この段階ですでに,アングロサクソン人を含むゲルマン人はローマ帝国と交易をしており,当時貿易商品だった "cheese" や "pepper" などの語彙がローマのラテン語から当時の英語に流入しました。

②ところで,イギリスには元来ケルト人が住んでいましたが,1世紀〜2世紀ごろ,ローマ帝国がブリテン島南部を支配します。続く3世紀以降にゲルマン民族の大移動が起こり,アングロサクソン人が流入してきます。これが現代英語の直接的な源流ですね。
476年に西ローマ帝国が滅亡し,アングロサクソン人による国家に替わります。しばらくはラテン語を上流階級や政府の言語として使用していたはずですが,時間が経つにつれて英語を使うようになってきます。この段階でさらにラテン語からの語彙等の吸収が進みます。
さらに,ローマ人が流入する以前からイギリスに居たケルト人を無視することもできません。日常的な語彙,そして文法的な機能語に,ケルト語が深く流入します。

③しばらく経って9世紀になると,北方ヨーロッパからヴァイキングが進出します。とりわけ,その一波であった,デンマークからスウェーデンのあたりを原住地とする,北ヨーロッパ語派(ノルド語)に属するデーン人がイギリスに進出するようになり,11世紀初頭のクヌートの王国の成立によりこの動きは集大成されます。この段階でノルド語的な要素までもが英語に流入してきます。

④クヌートの王国のあと,1040年代から20年ほどですが,一時的にアングロサクソンの王国が復活します。しかし1066年には現在の北フランスに位置したノルマンディー公国がイングランドを征服し,これによりノルマンディー公国の言語が英語に影響を及ぼします。
このノルマンディー公国は,民族的源流をノルマン人に求めるものの,なにせ場所はといえば現在のフランスです。英語と同様,建国当初からラテン語を支配言語として使っていました。ブリテン島とは違って民族的にノルマン人が多かったわけでもなく,依然としてローマ人の末裔が多かったんで,ゲルマン語に支配言語が移行することはなく,古典ラテン語→俗ラテン語→(ノルマン人の進出=ゲルマン語の流入)→フランス語,のように移り変わります。現在のフランス語とはもちろん似ても似つかぬような言語ですが,なにはともあれ,ノルマンディー公国はフランス語の源流となるような言語を使っていました(これはのちにフランク王国に引き継がれ,これを通じて現在のフランス語にまで至ります)。ちなみに,俗ラテン語から古いフランス語に移行する段階で,この言語でも活用と曲用の衰退が起こってます。

⑤そんなノルマンディー公国が流入してきたので,しかもイギリスの支配言語になっちゃったので,今まで以上に影響は深刻になります。ノルド語とは違って語派までが違う言語から非常に強い影響を受けるようになるわけです。語彙はもちろん,統語に関しても影響は深刻化します。この段階で,早くも英語の活用・曲用が単純化されはじめ,現代に至るまで徐々に徐々に孤立語的な特徴を呈するようになってきます。
この段階を以て「中期英語」と呼ぶようになります。これ以前の,まだゲルマン語然としていたときの英語を「古期英語」と呼びます。

⑥17世紀,シェイクスピアの頃には,もう随分と孤立語化が進んでいたようです。助動詞や動詞の活用を辛うじて留めるものの(すでに三単現の s とか二人称尊称の thou に対する shalt とかだけになってます。活用としてはほとんど機能してません),曲用に関しては完全に死にました。ここに「語順を重んじる言語」,つまり孤立語としての側面を持つ英語が整ってしまいました。
これ以降も,英語の国際公用語化と母語話者の急増に伴って,英語が独自に変化していくことは容易に予想できます。ただ,英語を孤立語的たらしめるような変化は,過去にすでに起こった,述べたような変化が主なものとなります。

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