次の文章を読み, 下の各問いに答えよ。
血しょうは, ボーマンのうにこし出されて原尿となる。 原尿中の成分のうち, 再吸収されないものは,
水が再吸収されることで結果として濃縮され, 尿の成分として排出される。
表は、健康なヒトの血しょう, 原尿, 尿における各種成分の成分 血しょう(%) 原尿 (%) 尿(%)
A
0.03
0.03
2
質量パーセント濃度 (%) を示したものである。 また,腎臓でま
ったく再吸収も分泌もされない物質であるイヌリンを用いて
濃縮率を調べたところ120であった。
B
7.2
0
0
C
0.3
0.3
0.34
D
0.001
0.001
0.075
E
0.1
0.1
0
問1. 表中の成分Eの名称を答えよ。
問2. 表中の成分のうち, 濃縮率の最も高い成分の記号と, その濃縮率を答えよ。
問3. 表中の成分のうち, 再吸収される割合が水に最も近いものの記号を答えよ。
問4.1日の尿量が1.5Lであったとき, 1日に何Lの血しょうがろ過されたと考えられるか。 イヌリンの
濃縮率をもとに計算せよ。
問5.成分Cの1日の再吸収量は何gか。
54. 腎臓の構造と働き ②
解答
問1. グルコース 問2. D 濃縮率・・・75
問 3. C 問4. 180L
問5.534.9g
解法のポイント
問1. Eは, 血しょう中の濃度が0.1%であることや, 原尿には含まれているが尿には含
まれておらず,すべて再吸収されていることからグルコースであると考えられる。
問2. 濃縮率は,尿中の濃度÷血しょう中の濃度で求められる。 それぞれの濃縮率を求
めると,Aは約66.7, B は 0, Cは約1.1, Dは75, Eは0となる。
問3. 水よりも再吸収される割合が低い物質は濃縮率が高くなり, 尿として排出される
量が多くなる。 逆に, 再吸収される割合が高い物質は濃縮率が低くなり尿中に含まれ
にくくなる。 再吸収される割合が水と同じであれば,濃度は変化せず, 濃縮率は1と
なる。 したがって, 濃縮率が約1.1のCが, 再吸収される割合が水に最も近い。
なお,Aは濃縮率が比較的高いことから尿素, Bは原尿にろ過されていないことか
らタンパク質, Cは再吸収される割合が水とほぼ同じであることからナトリウムイオ
ン, Dは濃縮率が高いことからクレアチニンであると考えられる。
問4. イヌリンはまったく再吸収されないことから, 原尿に含まれていた全量が尿中に
含まれている。 濃縮率が120であるということは, 濃度が120倍高くなったことを意味
している。 含まれているイヌリンの量は変化していないため, 原尿から水などが再吸
収され全体量が120分の1となったと考える。 尿の量が1.5Lであることから, ろ過
される血しょうの量は, 1.5L×120で求められる。
問5.
180L=180000g中に含まれている成分Cの量は, 180000g× (0.3÷100) で求
められる。 同様に, 尿中の量は, 1500g × (0.34÷100) で求められ, この差が再吸収さ
れた量となる。 したがって, {180000×(0.3÷100)}-{1500×(0.34÷100)}=540-5.1
=534.9(g) となる。
確かにそうですね!ありがとうございます!