6. ファージの実験
バクテリオファージ (ファージ)は,DNA (デオキシリボ核酸)とタンパク質で構成されている。 ファージと大腸菌を用いて次の実験1、
実験2を行った。
【実験】 ファージのDNAを物質 X, ファージのタンパク質を物質 Yで, それぞれ後で区別できるように目印をつけた。このファージを
培養液中の大腸菌に感染させた。 5分後に激しくかくはんして大腸菌に付着したファージを振り落とした後, 遠心分離して大腸菌
を沈殿させた。 沈殿した大腸菌を調べたところ, 物質 X が検出されたが, 物質 Yはほとんど検出されなかった。 また, 上澄みを調
べたところ、物質 X, 物質 Y のどちらも検出された。
【実験2】 実験1で沈殿した大腸菌を、 新しい培養液中でかくはんし培養したところ, 3時間後にすべての大腸菌の菌体が壊れた。 その後に、
培養液を遠心分離して、壊れた大腸菌を沈殿させ, 上澄みを調べたところ, ファージは実験1で最初に感染に用いた数の数千倍に
なっていた。
問1 実験12から考察される事がらとして適当なものを、次の①~⑥のうちから二つ選べ。
① ファージのタンパク質とファージのDNAは, かたく結びついて離れない。
② ファージのDNAは,感染後5分以内に大腸菌に入る。
③ ファージのDNAは,大腸菌の表面で増える。
④ ファージのタンパク質は,大腸菌が増えるために必須である。
⑤ ファージのタンパク質は,大腸菌の中でつくられる。
⑥ 実験2で得られた上澄みをそのまま培養すると, ファージが増え続け, 3時間後には、さらに数千倍になると考えられる。
問2 DNAに関連する記述として適当なものを、次の①~⑥のうちから二つ選べ。
① DNA は、4種類の塩基 (A,C, G, T) をもつヌクレオチドからなり,AはCと, G は T と, それぞれ対をなして結合している。
② DNAの塩基について, A の数の割合とTの数の割合との和は,Cの数の割合とGの数の割合との和に等しい。
③ ファージの DNA の各塩基の数の割合は、 大腸菌に感染させる前後でほとんど変わらない。
④ 遺伝情報は, DNA の各塩基の数の割合として組みこまれている。
⑤ ショウジョウバエのある個体がつくるすべての精子のDNAの遺伝情報は, どれも同じである。
⑥ 細胞分裂直後の娘細胞の DNA は、二重らせん構造になっている。