古文
高校生

口語訳していただきたいです。よろしくお願いします。

京には、大会など近うなりぬれば、「源氏の宮は女御代し給ひて、やがて参り給ふべし」とあるを、今はじめて聞こゆることにはあらねど、大将の御心のうち思ひやるべし。
「今はかうにこそは」と数へられて、我が身も憂き世を思ひ離れぬる日数も残りなきやうに思さるるには、さすがなること多くて、年ごろよろづにありがたく、思ひ忍び紛らはしつる心のうちも、ややもせば、我が身も人の御身もいかならむと乱れまさりて、「敷島の大和にはあらぬ」と、立ち居に思わびけり。
九月もつごもりになりぬれば、「ただ今日明日ばかりこそは」と、いとど吹き添え木枯らしも身にしみまさりて、もの心細くながめ臥し給へるに、寝殿の方に宮の琴の声の忍びやかに聞こゆるに、いと忍びがたくて、笛を同じ声に吹き合はせつつ参り給へれば、おほかたはいともの騒がしく忙しげなるころなれど、この御方にはのどのどとして、なべてならぬ人々五六人ばかり御前に近くて、廂の御座におはしまして、若き人々、童べなど、池の舟に乗りて漕ぎ返り遊ぶを御覧するなりけり。我も高欄に押しかかりて、笛を吹きつつ、そそのかし聞こえさせ給へど、「同じ筋を習ひしかど、ことのほかに劣りたらむ」と。
なかなか耳慣らさせ給はじとにや、弾きすさめさせ給ひて、「さらばこれを同じくは」とて、大納言の君して琴をさしやらせ給へれば、常よりも心やすく引き寄せ給ふままに、忍ぶる音にたてよとや今宵さは秋の調べの声の限りにと言はるるを、「人もこそ耳とどむれ。げに現し心もなくなりぬるにや」と、我ながらもどかしくて、 言ひ紛らはして、琴を手まさぐりにし給ひつつ、空をつくづくとながめぐり給へるに、霧りふたがりて月もさやかならぬしも、いとどものあはれなるに、かの天降り給ひし御子の御かたち、けはひ、ふと思ひ出でられて、いみじう恋しきに、「なぞや、憂き世にとどまりけむことぞ。いといと悔しきや。
またや」と試みまほしけれど、麓よりだにこそ帰るなれ、本意のままに見置き聞こえさせで雲路に交じらむも、なほ 心やましければ、御簾を引き上げ給ひて、長押に押しかかりて、「この御琴は、弾かせ給ふばかりなつかしうはいかでかなほ参らせむ」とてせちに奉り給ひて、琵琶を引き寄せて、「へ」をひとわたり落として、「萩が花滑り」とうたひすさみて、少し心に入れて弾き給へる、の言ひ知らず心細くあはれなるに、掻き返さるる桜の音、おもしろう愛敬づきて、雲居はるかに響きのぼる心地するを、「隠れ蓑の中納言の二の舞にやならむ」 とむつかしければ、撥ついさし給へるを、人々も宮 も飽かず思しめしたり。

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