回答

【現代語訳(適当)】
昔、陽明先生(王陽明)の家には群弟子がいた。来たばかりの学生はたぶん愚かな人だ。しばらく先生の良知の教えを聞いていたが、どうにも腑に落ちない。突然に「良知とは何か。白か黒か。」と聞いた。群弟子は唖然として失笑した。彼は恥じて顔を赤らめた。先生はゆっくりと「良知は黒でも白でもない。その色は赤である。」と言った。

どういう話かと聞かれたら「愚かな人が王陽明に『良知は黒か白か。』と聞いたら『良知とは黒でも白でもなく、赤である。』と答えた話」というのが適切でしょう。これ兵庫県の令和2年度の問題ですよね?正直、これだけ把握できていれば、話の意味がわからなくても問題は解けると思います。
以下ではこの応答はどういう意味を持っていたのか解説してみます。
普通、我々は「争いと平和」、「身体と精神」といった対立する二つのものの中で、あることについて説明しようとします。これを二元論と呼びます。すなわち、愚かな人の「黒か白か」という問いは二元論的な問いであるわけです。一方で、王陽明が作った陽明学では一元論的な立場を取ります。一元論とはある一つの原理によってあらゆるものを説明しようとする考え方のことです。すなわち、愚かな人の質問は二元論的な立場によって陽明学を理解しようとするものであり、それに対して王陽明は陽明学の一元論的な立場を説明するために良知とは赤である、つまり一色であると言ったのです。
ちなみに良知とは陽明学の重要思想のことです。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
https://eh-lab.com/habit/mental/p2242/

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