転写調節について、 次の文章を読み, 以下の問いに答えよ。
大腸菌がラクトースを栄養源として利用するための遺伝子群 (ラクトース代謝遺伝子群)
は,培地中にラクトースが存在しないときは必要がないため, 転写されない。
これは,ラクトース代謝遺伝子群の
付近にあるDNA 領域 (領域x) に,転
写調節タンパク質 X が結合するため
である。ラクトースが存在するとタ
領域y
ンパク質 Xは領域xに結合しなくなる。
領域 x
ラクトース代謝遺伝子群
ラクトース代謝遺伝子群の転写は, 培地中のグルコースの有無によっても調節される。
この調節を行う転写調節タンパク質 Y が結合するのは、領域 xの付近に存在するDNA 領
域 (領域 y) である。 タンパク質 Y は, 培地中のグルコースの有無に応じて領域」との結
合能力が変化する。 グルコースはタンパク質 X と領域 x の結合には影響せず, ラクトー
スはタンパク質 Yと領域yの結合には影響しない。 ラクトース代謝遺伝子群の転写調節
について,次の2つの独立した実験を行った。
実験① 培地中のグルコースとラク
トースの有無をさまざまに組み合わ
せ,ラクトース代謝遺伝子群が転写
されるかどうかを調べた。 結果は表
1のようになった。
表 1
グルコース
有
無
ラク有転写されない
トース 無 (B)
(A)
転写されない
実験② 図に示した DNA 領域のうち, 表 2
領域xを改変して, タンパク質 X
が結合しなくなった大腸菌を作成し
た。この大腸菌を用いて実験 ① と
同様の実験を行うと, 結果は表2の
ようになった。
グルコース
有
無
ラク 有
(C)
(D)
トース 無
(E)
(F)
(1) 表1の(A), (B), 表2の (C)~(F) に入る実験結果として,適切と考えられるものは何
か。 それぞれ 「転写される」 または 「転写されない」のどちらかで答えよ。
(2) 大腸菌はトリプトファン合成に使われる遺伝子群ももっている。 この遺伝子群は,ト
リプトファン存在下では発現せず, 細胞内のトリプトファンがなくなると発現する。 こ
の遺伝子群の発現を調節するリプレッサーはどのような性質をもつと考えられるか。
70字以内で答えよ。